脱ぎ履き楽なサイドゴアブーツは、いまの時世にピッタリ!
突然寒くなって足元にも冷えを感じ出したのでブーツを履きたくなるものの、ごく最近まで続いた暑さとコロナ禍の影響で履くのが楽な靴ばかり選んできたせいか、いきなり編み上げなど手間のかかるブーツに乗り換えるのは、少々困難…。そんなときに重宝してくれるのは、脱ぎ履きが楽なのに、きちんと見えるサイドゴアブーツ。
ワイドシルエットの隆盛で影を潜めていた観がありますが、時世に合ってるのも手伝って、今年はなんだか再ブレイクの予感。気になるモデルもちらほら登場しているようです。
というわけで、第59弾ではサイドゴアブーツの投稿をピックアップしたいと思います。
両サイドに伸縮性のあるゴア素材を施しているサイドゴアブーツは、プレーントゥで、シューレースやバックルなどもない簡素なデザインが主流です。
1830年代、即位したヴィクトリア女王のためにイギリス・ロンドンの靴屋が仕立てたブーツが始まりとされますが、女王より気に入ってしまったのが夫のアルバート公。
脱ぎ履きしやすいのに、足にフィットする合理的な作りに魅せられて自身でも仕立て、とにかく愛用したことから「アルバートブーツ」という名称でも呼ばれました。
その歴史から礼服、また履きやすさから乗馬用のブーツとして用いられ、1840年代後半頃から徐々に普及。幕末には日本にも渡って、坂本龍馬にも愛されたようです。
1960年代に入ると、ビートルズやローリングストーンズなどミュージシャンが目をつけたことをきっかけに、細身なスーツを愛するモッズたちにも好まれ、大きなブームを巻き起こします。
このムーブメントの中心地がイギリス・チェルシーであったことから、「チェルシーブーツ」という別名も持ち、3つの名称で呼ばれる不思議なブーツです。
では話をクルリンパと戻して、サイドゴアブーツの素敵な投稿5選をご紹介していきましょう!
ユニオンワークス別注サンダースのチェルシーブーツ
まずは、ニューバランス、レッドウィングの回に登場頂いた@takao___officialさんの投稿から。ユニオンワークス(Union Works)別注サンダース(Sanders)のチェルシーブーツ(Chelsea Boots)です。

1873年、イギリス・ノーザンプトンにてウィリアムとトーマス・サンダース兄弟によって設立されたサンダース。
イギリス国防総省(MOD)向けに供給されるレザーシューズのほとんどがサンダース製でファクトリーの約半分がその製造ラインに割当てられており、さらに世界中の多くの警察、軍隊、およびセキュリティ用のシューズとしてサンダース ユニフォーム フットウェア コレクション(Sanders Uniform Footwear Collection)が採用されているのも有名な話。これだけでも実力の高さがうかがえますね。
そんなサンダースと数年に渡って別注モデルをリリースしているユニオンワークスが、2021年夏にリリースしたのが、@takao___officialさんのチェルシーブーツ。
サンダースのチェルシーブーツと言うとカジュアル感が強い印象ですが アッパーを上質なアノネイカーフに変更し、キャップを排除してヒール周りをドレス仕様にアレンジしたことで上品な表情に仕上がっています。
一方で、ITHIDE製コマンドソールを履かせて、滑りやすい路面でも気兼ねなく履けるようにしているなど匙加減は絶妙。
ドレスにもカジュアルにも使えそうな一足で、今後の育ち具合も気になります。またぜひ経年変化具合をお知らせください!
タニノクリスチーのサイドゴアブーツ
続いては、雨に強いブーツ、グレー以外のニューバランス、茶色ブーツの回にも登場頂いた@neo_pennywiseさんの投稿から。タニノクリスチー(TANINO CRISCI)のサイドゴアブーツです。

1876年、イタリア・ミラノにて設立された「タニノクリスチー」。
イタリアのブランドらしい優雅なデザインと履き心地の良さを誇りとし、4代にわたってブランドの看板を守ってきましたが経営難に見まわれ、2011年に残念ながらブランドは終了しています。
@neo_pennywiseさんのサイドゴアブーツは、甲も薄めなスクエアトゥで美しいラインを描いていますね。ブランドがなくなって10年を迎えた現在でも、この美しい状態をキープなさっているお手入れ具合は素晴らしい!
革質の良さは写真からも伝わりますので、今後もたっぷり愛でて、美しさを保ってあげてください。
ラズロ ブタペストの「ゴールドリーニエ」
次に紹介するのは、 ジョンロブ、モンクストラップの回に登場頂いた@oliver_shoesさんの投稿から。ラズロ ブタペスト(Laszlo Budapest)のサイドゴアブーツ「ゴールドリーニエ」です。

ハンガリー・ブタペストのシューメイカーと言えば、同じ名前のラズロ・ヴァーシュが手掛けるヴァーシュ(VASS)が有名ですが、じつはもうひとつ、ラズロ ブタペストも忘れてはいけません。
ドイツ・シュバイガウ村発のメーカーで、ハンガリーに工房を構え、100年以上の歴史があります。
@oliver_shoesさんのサイドゴアブーツは、ハンガリー製らしく足の形に沿った内振り気味のフォルムとややスクエアなトゥ、そしてポッテリとしたボリュームあるシルエットが特長。
"スラックスにも合うのにミリタリーパンツでもいける"と記載されているように何にでも合いそうな汎用性と、雨でもガシガシ履けるタフさが魅力です。
履き込んでは磨くを繰り返すことで、より素晴らしい一足に育つ気がするので、ぜひ実践し、その経過も投稿してくださると嬉しいです!
ジェイエムウエストンの#705 サイドゴアブーツ
4番めは、@hash1momさんの投稿から。ジェイエムウエストン( J.M. WESTON)の#705 サイドゴアブーツです。

フランスの老舗ジェイエムウエストンを代表するモデルのひとつ、#705 サイドゴアブーツ。
緻密に計算されたパターンと職人の卓越した手仕事によって一枚革で仕立てられたフォルムは無駄がなくて美しく、象徴的なセンターのクリースラインも魅力的です。
タンブラウンのボックスカーフはドレススタイルにも合う美しさを誇りますが、デニムとも好相性。見事なアズーロ・エ・マローネで、秋の景色にもピッタリですね!
ほんのり入ってきた履きジワもイイ雰囲気で、今後履き込むことで現れる経年変化も楽しみ。ぜひお手入れして素敵に育て上げ、その様子もまた投稿してください。楽しみにしています。
フラテッリジャコメッティのサイドゴアブーツ
最後は、J.M.ウエストン、ジョンロブ「ウィリアム」の回に登場頂き、そして#ジュエリー魂企画の常連でもある@masa.northさんの投稿から。フラテッリジャコメッティ(F.LLI Giacometti)のサイドゴアブーツです。

イタリア・ベネト地方に唯一残っている職人メーカー、フラテッリ ジャコメッティ。
1890年代から続き、創業者の孫にあたるルイジーノとロベルトのジャコメッティ兄弟が手掛けるようになって、兄弟を意味するフラテッリが付きました。
2005年に誕生した登山靴ライン、マルモラーダ(Marmolada)の存在がこのブランドを世に知らしめる大きな機会となり、世界中で愛される靴メーカーへ成長を遂げました。
程よくボリュームのあるラストを用いたサイドゴアブーツは、カジュアルなスタイルにバチッとハマりそうな雰囲気。スエードで耐水性に優れたビブラムソールを履いているので、雨でもまったく問題がなさそうです。
この美しいベージュが汚れたり、濡れたりを繰り返し、手入れすることによってどんな風合いに育っていくのか興味津々。
経年変化を遂げたスエードのサイドゴアブーツもカッコ良さそうなので、ぜひまた拝見させてください!
ワイドシルエット全盛で疎遠だったサイドゴアブーツですが、やっぱりカッコいいですね。スラックスでもデニムでも、そして意外にも軍パンにも合う! ドレス由来なので、大人な着こなしにまとまりますし、なんてったって脱ぎ履きが楽なのが嬉しい。この秋、また盛り上がりそうな気配なので、気になる方はチェックしてみては?
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それでは次回の「あなたの靴、見せてください」もお楽しみに!!
Edit:Ryutaro Yanaka