どんなシーンで履くべきか論争絶えない、モンクストラップシューズ
まもなく4000投稿が見えてきた、あなたの靴を見せて頂こう企画、通称「靴魂(くつたま)」。"どんなテーマを切り口に取り上げたら、皆さんが喜んでくれるか?"を考えるのが ルーティンワークになっており、楽しみ半分 苦しみ半分で過ごす毎日です。
で、いろいろ悩んだ挙句、第24弾は モンクストラップシューズをピックアップしていこうと思います。
前回取り上げた、基本のキであるキャップトゥ(ストレートチップ)、そして内羽根のプレーントゥの黒に続いて、ビジネスシーンでよく取り上げられているデザインなのですが、許容範囲の捉え方が人によって異なり、ドレスとするか、カジュアルであるか、ずっと論争の続く靴。
もともとモンクストラップの起源はアルプス地方の修道士(モンク)が履いていたサンダルとされており、靴の形となるのは 15世紀頃。それが発展し、街で一般の人が履けるものとして世に現れ出したのは1930年代頃だそう。
長く イギリスではカジュアルな扱いだったものの、1940年代のアメリカにおいては冠婚葬祭でも履いていけるフォーマルな靴と捉えられたため、いまだにどう扱うかで論争が繰り広げられているのかもしれません。
FORZA的にも 格式あるフォーマルなシーンや冠婚葬祭では 避けるべきだとは考えますが、現在のビジネスーンはカジュアル化が進み、スーツを含めて捉え方が変化しているため、求める声が多くなるのは理解できますし、赤峰先生が仰るように「靴だけ目立つような履き方」ではなく、全体のバランスを調和させて履きこなせるなら、大いにアリだと考えます。
では、話をクルリンパと戻して モンクストラップの投稿から素敵な5選をご紹介していきましょう!
ジョンロブ&山陽山長のシングルモンク
まずは、ジョンロブ、オールデンの回に登場いただいた @sa197604さんの投稿から。
山陽山長のシングルモンク「善八郎」と、ジョンロブのシングルストラップ「オスナー(OSNER)」2足です。

小振りなヒールカップ、絞り込んだ土踏まず、低く抑えた二の甲によるしっかりとしたホールド感が特長となったラウンドトゥの木型(ラスト)R2010を採用した、山陽山長の「善八郎」。
そして、8695ラストを履いた、懐かしい雰囲気漂うシングルストラップの、ジョンロブ「オスナー(OSNER)」。
どちらもエプロンフロント(Uチップの靴で、切替え部分が エプロンのように見える)で、つま先には 革の内部を手で縫い通し、表面に縫い糸を出さないという匠な職人技 スキンステッチが施されています。
シングルモンクというと、プレーントゥタイプが多いのですが、Uチップもイイ雰囲気。そして、@sa197604さんは どれだけ魅力的な靴をお持ちなんでしょうか…。底がまったく見えません。許されるなら 一足ずつ全部拝見してみたいです!(笑)
ミヤギコウギョウのシングルモンク
続いては、ストレートチップの回に続いての登場となった@shoelover_kooさんの投稿。
宮城興業が手がけるレーベル「ミヤギコウギョウ(MIYAGI KOGYO)」のスエード シングルモンクです。

確か、1904年に創業したイギリスの老舗タンナー チャールズ・F・ステッド(CHARLES・F・STEAD)社のスエードを使っているこちらは、毛足が短めでキメも細かく、目が詰まっている印象。色の出方もイイ感じです。
この日は午後から雨の予報だったから履いたそうですが、日本って なぜか雨の日にスエードを履く人が少ないのは不思議。雨用の靴なのに…。その点 @shoelover_kooさんは素敵な履き方をなさっています。
ラバーソールなので 快適に履けそうですし、ストラップにはゴムが使われているので脱ぎ履きも便利。金具のデザインもイケてますね。
@shoelover_kooさんの投稿を拝見していると、宮城興業の靴が欲しくなります!
エンツォ ボナフェのダブルモンク
続いては、記念すべき第1弾 ジョンロブの回に登場いただいた@oliver_shoesさんの投稿。
エンツォ ボナフェ(Enzo Bonafe)のダブルモンクです。

創業者エンツォ・ボナフェが「ア・テストーニ」で経験を積んだ後の1963年に自身の名を冠して創業した「エンツォ ボナフェ」。丁寧なハンドソーンウェルト製法で作られているの特長です。
また、ボロネーゼ製法や、グッドイヤーとマッケイを組み合わせた製法など、独自の底付け技術を採用した靴を世に送り出しており、前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世も愛用。1986年にはイタリアの文化振興に寄与した靴工房として大統領に表彰されてもいます。
そんなエンツォ ボナフェのダブルモンクはシンプルなデザインながら、流れるようなストラップの造形が美しい! しかも、グッドイヤーながらマッケイのような履き心地だそうで、試してみたくなります。
@oliver_shoesさんは、ネイビーのクリームで青っぽい黒に育ているそうで、今後の成長も楽しみ。鏡面磨き含め、靴のメンテナンスにも長けているようで いつも美しく靴を履いていらっしゃいます。
またぜひ綺麗にメンテナンスした靴をお披露目してください。
ア・テストーニのダブルモンク
次にご紹介するのは、@m_papa0303さんの投稿。
ア・テストーニ(a.testoni)のスエード ダブルモンクです。

代々靴職人の家計で生まれ育ったアメデオ・テストーニが、1929年にボローニャに工房を設立し、創業したのが「ア・テストーニ」。
"世界一美しい靴を作る"という高い志を抱き、マッケイ製法を派生させたボロネーゼ製法を産み出し、先ほどのエンツォ・ボナフェやステファノ・ブランキーニ(Stefano Branchini)などを門下にもつことから 高い技術力を備えていたことがうかがえます。
こちらはおそらく、ニュー・ストゥディアム(New Studium)ラインでしょうか? チゼルトゥが描く、つま先のラインが美しいです。あと他ではあまり見られないストラップの形状も。
5年履いてリフト交換したとは思えない綺麗さで、よく手入れされているのが伝わりますね。あと5年と言わず もっともっと長く愛用してあげてください!
ジョンロブのトリプルバックル「WILLOW」
最後は、なんとも嬉しい! 女性の投稿者 @lovewinterloveさん。
ジョンロブのトリプルモンク「ウィロー(WILLOW)」です。

2017-18年秋冬シーズンから本格スタートしたジョンロブ(JOHN LOBB)」のウィメンズ・コレクション。
アーティスティック・ディレクターであるパウラ・ジェルバーゼ(Paula Gerbase)が木型から新たにデザインしてラインナップさせた6モデルの中でも、とくに注目を集めたのが、このストラップブーツ「ウィロー(WILLOW)」です。
25ミリのピッチドヒールや、そのヒールに施されたネイルのデザイン、アウトソールに刻まれたラインなど、ビスポークやコレクションのアーガイブから着想を得たデザインや意匠が取り入れられています。
ちなみに、この「ウィロー」から派生してスニーカータイプのプリムゾールブーツ「ハウル(Howell)」も誕生し、そちらも人気です。

いやー、@lovewinterloveさんはプロフィールを拝見すると京都の学生さんらしいんですが、女性で #靴魂の投稿をしてくださる方は相当にレアなので とにかく嬉しい! しかも それがジョンロブだったり、チャーチだったり、ジョセフ チーニー、トリッカーズ、マルモラーダ etc… だったりと靴好き感満載のラインナップ。
女性が ここまで革靴に興味を持ち、そして履いているなんて驚愕ですし、将来が有望すぎて……。機会がありましたら一度お話をうかがってみたいです。靴魂ライブでオファーしてみようかな。
今後もたくさん投稿してください! 女性のポスト大歓迎です!!
モンクストラップ論争の話するはずが、女性の投稿の嬉しさから興奮し、ちょっとどうでもよくなってしまいました(笑)。冗談ですが。
祥子先生も仰ってましたが、場の雰囲気と相手の方に対する敬意とを意識すれば、おのずと答えは導き出せるはずなので、マナーをわきまえてモンクストラップを履くのが良いかもしれません。
それでは、本日はここまで。是非これからも ドレスシューズに限らず、ブーツやスニーカーなどなど、みなさんの愛用靴を「#靴魂」を付けて たくさんポストしてください! 女性も大歓迎!! 新
ちなみにですが、会員登録して頂けるとコメントを書き込むことができますので、#靴魂に対するご意見や感想、「オレはココの靴が好きだー」「こんな切り口で靴が見てみたい」などなど奮ってコメントしてください。それから、インスタグラムの #靴魂(くつたま)を介して、皆さんが交流してくれたら、こんなに嬉しいことはありません。
投稿に関してですが、撮影の仕方は自由。靴のみ、履いている足元、その靴を中心としたコーディネートなどなど、靴が写っていれば何でもOKです。ぜひご自慢の一足をインスタグラムに投稿してください。もしかすると あなたの投稿を取り上げるかもしれません。
それでは次回の「あなたの靴、見せてください」もお楽しみに!!