ビスポークで有名なブランドで、あえて既成靴を購入
2017年末に3大時計ブランドに数えられる名門、ヴァシュロン・コンスタンタンから世界で7人しかいないインターナショナル・インフルエンサーのひとりに選出され、新ライン「フィフティ シックス」発表に向けたムービー撮影のためにロンドンを訪れました。
ロケ地は、サヴィルロウやジェントルマンズクラブなど、いずれも英国らしい素晴らしい場所。そのときメイフェアにあるジョージクレバリーのお店も そのなかに入っていたんです。ちなみに、お店の2〜3階は工房になっていて、日本人の職人さんも働いていました。
ジョージクレバリーといえば、1898年にロンドンの靴職人一家によって始まったブランドで、ビスポーク靴が超有名です。お店はロンドンのメイフェアと、カルフォルニアのビバリーヒルズだけ。ただ、世界中でトランクショーを行ってオーダーを受け付けており、日本にも年2回来ているそうなので、もしかしたらすでに体験済みの人もいるかもしれませんね。
僕も以前からビームスの先輩方にビスポークをすすめられていたこともあり、興味津々だったのですが、インフルエンサーみんながビスポークをしたいと言い出したものですから、自分の順番がなかなか回ってこず……。
そりゃ、そうですよね。保存されている木型は、おそらく3,000足以上。なかには、チャールズ皇太子やラルフ・ローレン氏のものもあったりするわけで、せっかくなら自分もと思うのは当然のことでしょう(インフルエンサーに選出されて、多少舞い上がっていた部分はあったにせよ……)。
その間、店内にディスプレイされたレディ・トゥ・ウェア(既成靴)を見ているうちに、このサイドゴアブーツを見つけて、これでいい(いや、これがいい!)と思ってしまったんですよね。だって、ビスポークだと納期は9〜10カ月後。でも、これだったら、すぐに履けますから(笑)。
アイコンのチゼルトウといい、細身でシャープなシルエットといい、実にデザインバランスがいいんですよ。ノーズの長さも僕好みだし、革の質感も素晴らしい。久しぶりにきれいな靴に出合ったと思いました。しかも、価格は忘れてしまいましたが、そんなに高価じゃなかったんですよ。
そのとき着ていたグレースーツに合わせてもばっちり。スーツだけではなく、いまはカジュアルなブラックデニムとも合わせて履いています。
Photo:Ikuo Kubota(OWL)
Text:Toshiaki Ishii