「来世があるならずっと一緒にいたいな」
亮の美しい横顔を眺めながら呟く。そんな甘い言葉を言っても、亮はまるで聞こえていないかのように無反応だ。
「亮のそのドライで割り切ったところも大好きよ」
それも正直な気持ちだった。
休日に夫とドラマを観ていると「そうそう、携帯に2回ほど無言電話があったんだ」と夫がぼやいた。
©Getty Images
ふーんと聞き流すと、「舞の浮気相手じゃないの?」と目線をテレビに向けたまま夫はポツリと言った。
「そんなわけないじゃん」
笑い飛ばしたが、表情を見られなくて助かった。かなり動揺した顔をしていたはずだからだ。
「もしかして、誰かにバレた?」
だが、誰かに見られるようなことは決してしていない。二人で会うのは亮の部屋だけだ。夫に好意を寄せている誰かかもしれないじゃないか。
「舞は俺たちの歴史を汚すようなことはしない……よな?」
夫のその言葉が舞の胸の奥を突き刺した。
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