3名の接見を担当した弁護士2名からの話によれば、リーダー格の矢部がM建設に隠れて、クライアントから個人で仕事を請け負うようになったきっかけは、ある現場に立ち会ったクライアント側の社員からの提案だったそうだ。
「M建設を通すと工事費かさむからさ、矢部さん、格安で個人で請け負ってくれない?」
最初は冗談として受けとめていた矢部だったが、その言葉がずっと、頭に中を回るようになったという。その話を、加藤と杉元に打ち明けたところ、2人が想像以上に乗り気であったため、背中を押されるように禁断の一歩を踏み出してしまったようだ。
©Getty Images
全てを終えたフロアのビルの窓から、最後に接見を終えた杉元が、1人肩を落として去っていく姿を見た。取材中には、胸を張り誇らしそうに自らの仕事について語った杉元とは別人のようだった。もし禁断の誘惑に負けることがなければ、彼らは今でも胸を張り、M建設のユニホームに袖を通していたのではないのだろうか。
TEXT:探偵 こころたまき
株式会社児玉総合情報事務所
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