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「不正社員をクビにするには?」会社が営業車に仕掛けた「ドラマのような罠と衝撃の顛末」

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企業から寄せられる依頼の中では、「社員の不正行為」に関するものが最も多い。

一言で「社員の不正行為」といっても、社員同士の不倫、元社員の情報漏洩など多種多様であるが、どれもが放置すれば、いずれは経営を脅かしかねない事件ばかりなのである。

・・・・・・・・・・・・・・

それは、矢部・加藤・杉元(いずれも仮名)という社員3人の不正に関する、株式会社M建設の社長からの依頼であった。

矢部は36歳・加藤は28歳・杉元は55歳。

矢部と加藤は、電気工事士としての資格を持っており、杉元は2人の補助役。

3人は、常にチームでM建設の業務を実施しているが、ある時からリーダー格の矢部が、M建設のクライアントから直接仕事を請負い、杉元・加藤を巻き込んで勤務時間内に実施しているという。

それは、矢部のパソコンの中に入っていた個人の業務日程表を、偶然他の社員が目にしたことで露見したのだ。

依頼者は、信頼していた3名に裏切られ、ショックを受けてはいたが、それでも3名を法的に訴えるつもりはなく、あくまでも自発的な「依願退職」させることを希望していた。  

当時はまだ、今のようにドライブレコーダーが普及しておらず我々は不正の証拠を入手するために、数日間に渡り3名が移動に使う社用車内部に、依頼者側の立ち合いの元、レコーダーを設置することなった。

すると、数日後に車内から取り出したレコーダーには、以下の会話が記録されていた。

©Getty Images

加藤「今年も払って来ましたよ、所得税」

杉元「500万くらい?」

加藤「いやいやいや。矢部さんからの分配、そんなに無いですよね?(笑)一応、年間所得は100万弱くらいで、税金は9000円」

矢部「100万弱で9000円、たいしたことないんだね」       

加藤「所得自体抑えないと、健康保険がかかってくる。例えば本来は所得が400万円で、所得税が9000円、ほぼありえない話」

杉元「正直に申告したら経費も出ない。みんな50万円ぐらいは節税してるよね」        

加藤「根本的に嘘ついて、収入400万を100万って申告してるんで、100万を誰からもらったか、そこつつかれるときつい」

―ここで、矢部の携帯が鳴る―

矢部「○○さん、お世話になってます。多分大丈夫です。はい、ありがとうございます。詳細はメールでお願いします」

杉元「新しい現場?」

矢部「○○会社からの仕事で、江戸川区」

加藤「そこ、うちの会社の管轄外っすね。大丈夫ですかね?」

杉元「行くんですか?」

矢部「うん。調整すれば平気でしょう」

彼らの会話から、矢部がM建設のクライアントから別ルートで仕事を請け負っていることが判明した。

更には加藤がM建設からの給与を隠し、矢部から個人的に支払われた収入に対して、確定申告をしていた旨のやりとり等が、明確に録音されていた。

こうして不正の証拠は無事に確保できたが、3名に対して損害賠償請求はせず、3名を依願退職させる方向で動きたい、というM建設社長の意志は変わらなかった。

※依願退職の場合、会社都合退職に比べて退職金や失業手当の面で、従業員が受ける福利厚生が少なくなることが多い。

そこで、弁護士と共に対策を練っていたところ、ある提案が出た。

―矢部 ・加藤・杉元の3名に、【不意打ち】で弁護士チームと接見させ、尋問することによって、依願退職せざるを得ない状況にもっていくのはどうか―

3人を依願退職させるための秘策とは? 衝撃の後編に続く。

TEXT:探偵 こころたまき

▶︎後編に続く


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