どうやらマサト側も楽しかったようで、お互いにメッセージを切らせないようにやり取りを無意識に続けている。
「今日は会議が多くて、ちょっと憂鬱なんだよね」
「まあでも、県民のためですから! 地元のために先輩頑張ってくださいよ!」
「そう言われちゃうと頑張れる気がしてきたわ、ありがとう! 昼食はもう食べた?」
「PTAの集まりがあるらしくて、時間がなくて食べられてないんですよ〜」
「この暑さだとマズイよ、夏バテするから食べてくれ! うなぎとか!」
「うなぎは高いから無理〜、でもスーパーで何かいいものあとで探してみまーす」
そしてメッセージが切れそうになってくると、「うなぎ買えた?」などというメッセージが続いて届く。互いに、どうにか切らせない、その意思が垣間見えていた。
そんなやり取りが一週間も続いた頃に、ふとマサトのほうから「夏実ちゃん、俺とのメッセージうざくない?」とメッセージが届いた。
©Getty Images
どうしよう、これは。ちょっと意味深だな、と思いながら夏実は慎重に返信を考える。
ここまで楽しくメッセージを続けていたけれど、ここでの返信が今後を左右するぐらい大きな方向を決めそうなことを感じ、夏実は何度も推敲を重ねた上で返信した。
RANKING
2
5
2
4
5