【Sloane Ranger Tokyoのトリセツ③】オーダーを楽しもう!
1900年代初期からある資料や古着を楽しみながら服の話をして作る
――オーダーのスタイルは1920年代と30年代がメインということですが、20年代スタイルの代表的なものの解説をお願いします。
大西 私は「炎のランナースーツ」と呼んでいますが、映画『炎のランナー』の中で、スコットランドの宣教師がスコットランドに戻って、これからオリンピックに行くという演説のときに着ていたスーツを再現したスリーピースです。
ジャケットの肩幅が狭めのAラインで、組下パンツも太くなく、背中にアクションプリーツ入りで、袖は自分が好きなターンバック仕様という“大西オリジナル”の20年代スタイルです。
スリーピース 20万9000円(仕立て上がり価格)
――生地も良いですね。
大西 日本各地の牧場から買い取った純国産の羊毛だけを使って生地を生産するJ SHEPERDS(ジェイ・シェパーズ)の生地を使っていて、ビジネスシーンでも着られます。
――では30年代スタイルは?
大西 30年代スタイルは今自分が着ているスリーピースです。20年代に比べてジャケットの肩幅を出して、細腹(さいばら)なしの2つのパーツを組み合わせ、ダーツでシルエットを出しています。組下パンツは太めで、裾幅は28cm(11インチ)。生地は、ヴィタル バルベリス カノニコの6PLY(シックスプライ)で、21万7800円(仕立て上がり価格)になります。
大西さんが着用しているスリーピースの生地VBCの生地見本と
――大西さんはモデリストですが、縫製はどこで行っているのですか。
大西 ビスポークは個人でやっている腕の良い職人にお願いし、MTM(メイドトゥメジャー)は信頼できる工房に頼んでいます。どちらも国内です。
「オースティン・パワーズばりに着られます」というクラブストライプのスリーピースはオーダー用の見本。ピークドラペルの拝みボタンで、まさに通好み
――オープンしてから一番多いオーダーを教えてください。
大西 価格はMTMで、シングルブレストスーツが9万9000円から、ジャケットは7万7000円からですが、値段は生地のセレクトで変わり、仮縫いも受け付けます。これまで一番多いオーダーは、「シングルスーツで12万円ぐらい」ですね。