「キリコさんとは食事をする仲になりました。夫との関係もさりげなく相談して悩みを聞いてもらったり……ある日、『よかったらドライブしようか。スカッとするわよ』と、彼女が夜の湾岸を飛ばしてくれたんです。その日も夫の愚痴をこぼしてしまったので、彼女なりの励ましだったのかもしれません」
夜景の美しいスポットに車を停め、2人は車中から、窓外の景色を眺めていた。
「会話は無く、2人でキレイな夜景を眺めていた時でした。不意に、キリコさんの手が助手席に座る私の肩を抱いてきたんです。えっと思った時には引き寄せられ、唇が重なっていました」
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©︎gettyimages
ルミさんにとって、初めての「同性とのキス」だったという。
突然の口づけに、拒絶の気持ちはなかったのだろうか?
「それが全く嫌じゃなかったんです。キリコさんには出会った時からときめきや憧れを感じていましたし……むしろ『女の人ってこんなにいい匂いがするの?』『なんて柔らかな唇なの』と感動してしまって……。気づけば彼女の二の腕をつかんで、唇を押し当てていました」
ここ数年、誰かに欲望をぶつけることのなかったルミさんは、明らかに昂揚している自分に気づいたという。
キスが解かれたのち、すがるように『帰りたくない』と告げていた。
夫の顔がよぎったが、拒まれ続けた苦い経験や屈辱的な言葉が、ルミさんにその言葉を言わせたのだ。
2人を乗せた車は、そのままホテルへと向かった。
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