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【後編】認知症の父の遺言を書き換えたい! 探偵が受けた「悲しすぎる依頼の衝撃内容」

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——いさむさんは、どんな気持ちで、これを書いていたんだろうか? 本当に、これを望んでいたんだろうか?——

そう思って、いさむさんの顔を除くと、彼はただ、無表情で目の前に広げられた書類を見つめていた。

こうして何事もなく、依頼者が父親に書き換えさせた遺言書は、晴れて「公正証書遺言書」となった。

後日、依頼者が帰国し、面談することになった。

「これで、一安心です。弟は私が大学時代に留学していたことを棚に上げて遺言書を……」

若い外国人の男性を高級車の中に待たせ、早口で話す依頼者の言葉が、全く耳に入ってこない。

一見素朴で、男性受けしそうな可憐な容姿と、発言とのギャップにも違和感を覚えた。

——こうしている間も、いさむさんは、たった一人で観葉植物に話しかけているのだろうか?——

そんなことを想いながら、私は、公証役場からの帰りの車内で、夕暮れ時の景色を窓から眺めながら言った、いさむさんの言葉を思い出していた。

「見えるものすべてが、『私はここにいますよ』って、言ってるみたいですね。」

 

TEXT:探偵 こころたまき

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