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【後編】認知症の父の遺言を書き換えたい! 探偵が受けた「悲しすぎる依頼の衝撃内容」

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公証役場のある街に着くまで、とにかく、色々話しかけ続け、その合間に、公証人への応対の練習をすることにした。

「いさむさんは、若い頃はどのようなお仕事をされていたんですか?」

「海の向こうに、石油を採掘する基地があったんです。私はね、そこで働いていたんです。」

「石油を採掘するお仕事ですか?」

「私は、眺める役でした。」

「眺める?」

「私は監督する方の仕事でした。来る日も来る日も、石油を採掘する男たちを眺めていたんです」

「いさむさんは、偉かったのですね」

「いいえ。偉いのは、汗をかきながら働く方です。私はいつもうらやましかったですよ」

「そうなんですか?」

「はい。汗をかいて働く男たちが眩しかったですよ。海に沈んでいく夕日と同じくらいに。」

他の人が言えば気障っぽく聞こえるようなセリフも、何故か、いさむさんが言うと、詩を朗読しているように聞こえるのが不思議だった。



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