「私の部屋に、大きな観葉植物が一つありまして、それに話しかけております。」
「‥‥?!。」
「誰とも話しませんと、言葉の話し方を忘れてしまう気がしますので。」
そういいながら、いさむさんは、品よくほほ笑んだ。
「娘さんや、息子さんご家族は、時々、会いに来られないのですか?」
「今までに、1度か、2度、来たことはあります。」
「それは、少し、さみしいですね……」
「いえいえ、私には、観葉植物という話し相手がおりますから」
いさむさんは、こちらの方から話しかけると、品良く微笑みながら、ウイットに富んだ返事を返してくれるが、答え終わると無表情になり、目の前の、助手席のシートをうつろな目で眺めるのだった。
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