「彼の様子が途中からちょっとおかしくて、あれ?とは思っていたんです。そうしたらお会計のとき、会社に財布を忘れちゃったみたいと言い出したんです。あぁ、それで何だか様子がおかしかったんだと合点がいきました。ですから、気にも留めることもなく私が支払いをしました。そのときはそれよりも会社に本当に財布があるかどうかの方が気になっていたくらいです」
次のデートのときも、その次のデートのときも彼はなんだかんだいって、会計時に財布を出さなかった。
「いやね、今月金欠だとか物入りだとか、いろいろあると思うし、なんだかんだ私の方が年上だし、払うことはさして問題ではないんですよ。お給料も微々たる金額でしたけど、上がりましたから。でもなんだかモヤモヤがあったのは事実です」
そうこうして1ヶ月経つといつもなら残っている由希子の生活費が底をついた。この口座には比較的余裕を持ってお金を入れていたはずだ。これでは彼との関係が長続きしないと思った由希子は意を決して、話をしたという。
「奢る奢られない論争があるけれど、自分は割り勘が当然だと思っていることを伝えました。もちろんお互いに事情がある場合は鑑みるけどと付け加えて。そうしたら彼がキョトンとした顔をしてこう言ったんです」
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