「えっ、でも由希子年上だよね。奢る奢られるが男女で差別されるのはジェンダー的におかしいけど、年齢的には上が下の分を払うのが当然なんじゃない?」
由希子は開いた口がふさがらなかったという。
「確かに年上が年下にご馳走する、そういう文化みたいなものはありますよね。それは年下より年上の方が高収入であるケースが多かったり、仕事関係の上司と部下だったりするからだと思っていました。付き合っている間柄でもそれって通用するんですか? ちょっと私びっくりしちゃって」
由希子が黙っていると彼は大きくため息をついた。
「まずいと思いました。このままいったら別れちゃうって。そのときはかなり彼のことが好きになっていたので、わかったよって言っちゃったんです……」
それからも基本は由希子が食事の支払いを続けた。10回に1回程度、彼が支払うこともあったがファストフードやラーメンなど、たかが知れている値段のものばかり。由希子のモヤモヤはどんどん募っていった。
しかし、由希子が受け入れられない事態が起こる。
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