現代日本を映す鑑とも呼ばれるコンビニ。そこでは日々問題となっているのが、「廃棄」の問題だ。多くの廃棄が出ていて勿体ないと言われるコンビニの廃棄(フードロス)問題について、とあるコンビニチーフの近藤智子さん(40歳・仮名)に話を聞くことが出来た。
「コンビニの廃棄問題は確かに難しい所があります。店側としてももちろん廃棄はあまり出したくない……。かと言ってたくさん発注しないことには利益も上がらないです。
イベントなどでたくさんお弁当やおにぎりを発注したけど、思うようにお客さんが来なくて大量の廃棄……。なんて事はよくあること。あとはお店の体質とか、本部からの圧力なども問題もありますけど」
近藤さんのコンビニでは毎日2万円以上の商品の廃棄が出ているという。一日の売上も比較的大きい店なので、このくらいは当然のようだ。多いときだと3万円以上、ひどい時は5万円にのぼる時もあると言う。
「一番金額が大きいのはお弁当やおにぎり、サンドイッチなどのデイリー品ですね。これらはたくさん売れるからその分仕入れも多いんですが、販売期限が短いです。搬入して2日くらいで廃棄になるので、売れない時は廃棄の山になります。でも1日3回、毎日発注しないといけないから、多少のミスは出ますね」
近藤さんのお店ではお弁当やサンドイッチなどだけで、1日約2万円ほどの廃棄になるそうだ。
期限が過ぎた商品はレジを通らなくなってしまうので、強制的に廃棄するしかなくなる。お店としても様々な工夫はしているそうだが・・・
「基本的におにぎりなどは古いものは前の方に置いてます。期限が近いものなどは、割引シールを貼ったりもしてますね。でもお客さんの中には新しいのがいいからと、後ろの方から取っていく人も多いですよ。特に頑固なお年寄りの方なんかはその傾向が強いですが、そこはお客様の自由なので仕方がありません」
廃棄となった商品は、そのまま処理してゴミ捨て場に持っていくらしい。3万円以上の廃棄になると、大きなポリ袋がおにぎりでいっぱいになるそうだ。
「お店によっては廃棄されたお弁当を従業員が食べてもいいところもあるみたいです。でもうちは基本的にNGで、時々廃棄されたお弁当を食べたスタッフが厳重注意を受けることもあります。たくさん仕入れて売れなかった新商品とかはもったいないですね……。家族とかに持っていって試食できればいいんですけど」
お弁当やサンドイッチの次に廃棄が多いのが、店頭に並んでいる「揚げ物類」だそうだ。調理されたものをすぐに出すので、新鮮さがウリの揚げ物類だが、その分販売期限も短い。近藤さんのお店では、1日あたり4000円から5000円の廃棄が出てしまうとのことだった。
「揚げ物系はほとんど4時間から6時間で廃棄になります。なのでお客さんが増える昼時や夕方などのピークに向けて、揚げる量を増やしていきます。慣れたスタッフだと売れる商品を時間帯によって上手に揚げていくんです。
でもスタッフによっては、変な時間帯に売れないものを揚げちゃったりすることもあります。もうお客さんも終わりかなって時に、売れないメンチカツやささみを揚げると廃棄が増えますね」
後編へ続く。
取材/文 鮫島祐樹