そうこうするうち、頑張った甲斐あって、ようやく子どもは誕生した。
「子どもが出てくる少し前に、男性医師がどこからともなく現れました。はい、ちょっと出やすいように手伝いますよ、って言って鋏を妻の局部に向けるのが見えたんです。オレ、ビビりまくりました。妻を見たら、早くとか、死ぬとか言ってて、鋏なんてどうでもいいみたいでした。どんだけ痛いんだろうと思ったら、かわいそうで涙が出そうでしたね。それで、その後わりとすぐに出産したんですが、取り上げられた子どもが血まみれなのを見て……ごめんなさい、軽いめまいがしました」
生まれた子どもはすぐにお湯で洗ってもらい、妻の胸に抱かれたあと、その隣に寝かされたという。
「助産師さんや看護師さんが、パパおめでとう、パパになったね! とか声をかけてくれて、それはもちろん嬉しかったんですけど、陣痛から15時間くらい、オレも仮眠少しとったくらいで疲れてたし、とにかく、何ともいえない気分でした。嬉しかったんですよ、本当に。でも、見てはいけないものを見たっていう気持ちのほうがはるかに大きかったです。正直に言いますけど」
その後、彰吾は新生児ルームで眠るわが子の可愛さを見て感無量になったという。退院後2人で妻の実家に寝泊りして子どもの面倒を見るのは、大変だったが素敵な経験だったとも語ってくれた。
「ですが、産後4か月くらいかな。もう実家を出てマンションに戻ってましたが、ある日、ベッドに入った後、妻がキスしてって言ってきたんです。妻が布団の中でキスしてって言う時は、セックスしたいっていう合図なんですね。うちでは暗黙の了解になってます」
産後はいつから性行為を再開できるのか、出産前はそのことが気がかりだったのだと彰吾は言った。しかし、実際にそうなってみると、何か月経っても妻を抱きたいと思わない自分が不可解だったという。その一方で、ビデオを見たり雑誌を見たりすれば当然のように衝動に駆られ、自ら済ませていたのだと。
「言われるがままキスして、そのあと自然な流れで妻の胸に手をやったんです。ただでさえ大きめの胸がさらにすごいことになってて、興奮するぞするぞって思ってたら、全くなんです。あんなの初めてでした。何の反応もしないんです、オレ自身が。本当にピクリともしないんです。激しく動揺しました」
久々に妻を抱ける喜びではなく、機能しなかった自分にショックを感じた彰吾。しかもその試練は、長く長く続くことになってしまう...。
☆衝撃の次回では、妻を抱けなくなったことで生じた家庭内の不協和音と、それがもたらした「さらなる災い」について詳細にレポートしたい☆
ライター 中小林亜紀