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「マジで後悔しかない…」立ち会い出産で男性不能になるなんて。ある新米パパの「切実な嘆き」

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陣痛室に入ると、妻は規則的に苦悶の表情を浮かべた。彰吾は陣痛のタイミングに合わせて、予習していたとおり、テニスボールを妻の肛門のそばに押し当てていきみを逃がそうとした。すると、妻は「違うって! なんでそんなとこ触んの?」と怒鳴ったという。

「当たり前です。想像を絶する痛みと戦っているわけなので、見当違いの場所を触られたら腹が立つだろうし、腹立つ以前に理性をなくすほど痛いってことだから……で、とにかくオレはおろおろするばっかりで、お手上げ状態でしたね。陣痛室でこれだから、分娩室どうなっちゃうんだろうって、もう不安しかなかったです」

妻の陣痛の間隔が短くなっていくにつれ、彰吾の不安はどんどん強くなっていった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

「いやもう、なるようになれって、半ばやけくそな感じでした。手を握って、あとはビデオ撮るしかねーなって思ってました。指示されたとおりやるだけです」

妻が絶対に記録しておいてねと言い、かたく約束したビデオ撮影だけはやり遂げなければならないと自分に言い聞かせていたそうだ。あとは、手。「手を握っていてね」という妻の言葉を忘れないようにしていたのだと。

「でも、分娩室に入ったら、手を握ってがんばれーとかそんなぬるい状況じゃなかったんです。妻はもう猛獣みたいに叫んでて。手を握ったらふりほどいて、あの、何て呼ぶのかな、つかまる所を握ったり、分娩台をバンバン叩いたり……オレ、やめとけばいいのにもう一回手を取って握ったんです。妻は聞いたこともないような低い声で、いらないって言ってんだよって唸るように言ってました」

©Getty Images

彰吾は手を握って応援することを諦めたが、そうなると手持無沙汰になった。仕方がないので、早めにビデオを妻に向け始めたのだという。

「そしたら、何撮ってんだよ、ふざけんなよって妻に言われたんです。びっくりしちゃって、オレ。看護師さんが、ごめんね、いま気が立ってるからねってフォローしてくれました。人が変わるほど痛いんですよね、お産って」

自分に言い聞かせるようにそう話すと、さらに彰吾は続けた。

「わかるんですよ。そうだよね、いま撮る場面じゃないよねっていうのは。でも、絶対撮ってね、約束だよって可愛く言ってた時の顔を思い出すと、なんかすごかったです、衝撃が。わかってます。仕方がないってことも、そんな風になって当然だってことも」



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