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双方の意見が食い違う【交通事故】にあったら、あなたならどうする?後進旋回車と直進車が起こしたケースを鑑定する

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■ブレーキが何らかの原因で緩んでしまったことが原因

A氏は普段から、出発時に前進で国道へ出られるよう、自宅駐車場に駐車をする際は、後退で駐車していたという。普段から慣れた運転操作であったというので、どの位置でクルマを一時停止し、どれくらいのハンドル角で後退するのかは、身に染みついていたはずだ(ちなみに、このような駐車手順が適切だったのか、反対車線から後退進入した方が良かったのではないか、という考察は、今回は行わない)。

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A氏は経験的に、どの位置で停止すれば小回りで後退して、適切な位置から敷地に入れるかを理解しており、後退ギアに入れた状態で、ステアリングをいっぱいに切って待機していたと考えられる

また、車道と歩道を分離している縁石の切れ目が狭く、敷地に入る際、クルマは道路に対してほぼ直角である必要があった。こうした説明から中島氏が推測した、事故の形態はこうだ。

「A氏は、旋回駐車時の車両操作に慣れていたため、オーバーハングまで含めた旋回円を把握していたはずです。左に寄せるときに壁際まで寄せず、前方を確認できる位置に停止して、ギアを後退に入れて待機していました。また経験的に、どの位置で停止すれば小回りで後退して、適切な位置から敷地に入れるかも理解しており、待機時にステアリングをいっぱいに切っていたと考えられます」。

続けて、「おそらく待機中に、何らかの理由でブレーキが緩んで後退してしまったのでしょう。後退ギアは低速までしか到達しないことから、踏力不足になってもしばらくの間は車両の位置も姿勢もほとんど変化しないため、自車が移動していることに気づけなかったと思われます。その後、A車は速度を(クリープ速度まで)徐々に増しながら旋回するので、B車にとっては右側から急に現れたように見えたと思われます」。

A氏は普段から、旋回後退での駐車運転に慣れていたことで、操作が甘くなってしまったのだろう。運転環境はいつでも同じとは限らない。慣れた運転操作であればこそ注意が必要だと感じた、今回の事案であった。

Storyteller:Hiroshi Nakajima
Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:Raptor,gettyimages,AC
Edit:Takashi Ogiyama

交通事故鑑定人・中島博史氏が所属する「ラプター」のHPはこちら



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