交通事故鑑定人である中島博史氏が解明した交通事故事例を紹介する本シリーズ。3回目の今回は、「2台のクルマによる衝突事故」だ。
事故が起きたのは、某年11月の23時ごろ。片側1車線の国道を直進してきたA氏のクルマが、一旦停止したあと、住宅敷地内へ旋回後退する際、反対車線を走行してきたB氏のクルマと衝突した交通事故だ。衝突直前から衝突発生までの双方車両の動きと位置関係について、当事者それぞれの説明が食い違っており、過失割合について、双方の保険業者を含めて論争となったのだ。
ドライブレコーダーなどの記録はなく、事故を目撃した者も現れない。クルマは既に修理されており、残されているのは写真のみ。この事故を中島氏はどのように紐解いたのだろうか。