「これほどまでにブラック企業が問題視されているのに、いまだ根絶していない理由」を5つ提示したが、続いてはブラック企業問題について今後の展望を述べる。
残念ながら、消費者やユーザーが「コスパ」を求める限り、ブラック労働によって従業員にシワ寄せをしてでも、商品やサービスを安く出そうとする「ブラック企業マインド」が滅びることはないかもしれない。しかし、物理的な要因によってブラック企業そのものが滅びることはあり得る。
確実に訪れるのは少子化の影響だ。現在、40代後半~50代前半の「第二次ベビーブーム」世代は、1歳ごとに200万人くらいいるが、今の新人世代はその半分の100万人くらい。2022年生まれた子に至っては77万人程度と、戦後最少を更新している。もう「お前の代わりなんていくらでもいるんだ!」などという時代ではないどころか、これから「若い人手」が何よりも貴重な時代に突入することになる。
コロナ禍以前、2008年から我が国は人口減少傾向へと移行し、2010年頃から「数年以内に抜本的な少子化対策を実施しないと、取り返しのつかない事態になる」と警鐘が鳴らされ始めた。そこからは、東日本大震災の復興本格化、その後の東京五輪・パラリンピック開催決定という流れの中で、「明らかに人手が足りない」という認識が実感値として広がっていった感がある。
RANKING
1
2
5
3
4