とりあえず日程と、期間だけ決めて、あとはお互い旅のプランを計画しながら、また近々会うということでその場は解散となった。
愛理の心は、その日から「たか君」とのロンドンへの旅、一色になっていた。
「たか君」は、「女性と一緒だからそんなに安い旅行はできない」と言ってくれたので、愛理は、直行便でかつAランクのホテルが付随したパッケージツアーを探すことにした。
だが、どのプランもそれなりの代金となる。間違いなくコロナ禍前と比較し、旅費が上がっているのが分かった。
予定していた出発日のちょうど二週間前。この日は、「たか君」と3回目のデートだ。
2回目のデートの時、愛理は彼と身体の関係を持っていた。
「結婚している」なんて間違っても口にできない雰囲気が、そこには出来上がっていた。彼の若くみずみずしい肌に溺れ、荒々しいキスに興奮し、そして、何度絶頂に達したかわからないくらいの快楽を愛理は体験した。
その日、愛理は自分なりに考えた2つのプランを書いた旅程表を持参していた。
一つは彼の希望の予算より若干安いプラン。もう一つは逆に、予算より高い分、立地の良いホテルがパッケージされたプラン。
©︎gettyimages
待ち合わせの駅の改札に5分前に到着した愛理は、そこで、凛とした佇まいで直立する「たか君」を見つけた。目線が合う。彼がはにかむ。愛理は、全身に電流が走るような感覚に襲われた。早く抱かれたい。体が疼く感覚を抱きながら、愛理は「たか君」のもとに走り寄った。
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