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【後編】「リモートワーク不倫」強制出社、その言葉に隠された「秘め事」とは…

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「もちろんです、今日は久々に外の空気が吸えてこちらも嬉しいです」

 

「あのさ」

山崎が奈月の腕を突然つかんだ。瞬時に反応できなかった奈月に、山崎が言葉を畳み掛ける。

©Getty Images

「嫌だったら、はっきり言って欲しい。これからも下田さんとはいい関係を続けたいから」

「……はい?」

「例えばだけど、例えば。このままホテルに行こうと言ったら、どう思う?」

どう思う、とは。それはつまり、えっと。

「それは、その」

「そういうことだよ、もちろん、嫌ならすぐに手を離すよ」

 

奈月は瞬時に、入社当時のことをさらに思い出した。こんな爽やかで体育会系の上司かと驚いたこと、そしてこの人と付き合えたらいいのになと実は思っていたこと、でもすでに結婚していると聞いて心に蓋をしていたこと……。

ぶわっと火照る感覚が、身体の奥で貫かれる。耳までかっと熱くなる。

「山崎さん。私、人と話すのも本当に久々だし、夫ともそういうことをずっとしていないので、その、本当にうまくできるかどうかっていうか……」

「大丈夫、できるよ。俺の部下だろ、大丈夫」

山崎はそう言うと、いつも以上に爽やかな笑顔で奈月の腕を引き寄せた。

©Getty Images


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