『顔合わせ5000円、お食事1万円、ホテル3万円(ホテル代別)』
画面に並んだその金額を見て、沙織(仮名)は「想像していたよりも安い」と驚いた。
※この記事は取材を元に構成しておりますが、個人のプライバシーに配慮し、一部内容を変更しております。あらかじめご了承ください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ひと昔前に“援助交際”や“愛人契約”といった言葉で表現されていたはずのものは、現代では“パパ活”というマイルドな言葉に進化しながらも浸透し続けている。
沙織が20歳の頃も確かに、いくらでどう、だなんて失礼に話しかけてくるオヤジが街中にいたのを覚えている。全てを断ってきたけれど、私も若さをお金に変えることはできたはずだったんだな、とも思う。
そんな沙織ももうすぐ38歳、今やアラフォーと呼ばれる年齢になった。私はもはや、売る側ではなく買う側にしかなれないよ。そう理解している沙織は、掲示板で募集しているメールアドレスにメールを書く。
「ママ活希望です、こちらは38歳の既婚普通体型です。まずは顔合わせ5000円で、新宿駅周辺でお願いできますか? 明日でもOKです、よろしくお願いいたします。リオ」
メッセージを何度も読み返す、変なところはないだろうか。沙織という名前を逆から読んだ、リオという偽名にしてみた。よし、送信。
沙織は人生で初めて勇気を出して、ママ活募集掲示板で見かけた「ショウ(20・大学生)」にメッセージを送信した。
「……“リオ”さんですか? まさか、本当にいらっしゃるなんて!」
次の日に新宿のチェーン系カフェで、沙織を目の前にしたショウは第一声で驚きながら笑顔を見せた。その笑顔に沙織はほっとする。
「そりゃ約束したんだから、来ますよ。来る人の方が少ないんですか?」
Text:女の事件簿調査チーム