「カローラクロス」というクルマをご存じだろうか。カローラクロスは、トヨタが2020年7月にタイで発売開始した、新型クロスオーバーSUVだ。名前から分かる通り、カローラシリーズとプラットフォームを同じくする兄弟車であり、ちょうどいいサイズ感と、オーソドックスなSUVスタイルで、日本への導入も熱望されている。

近年、日本の自動車メーカー各社は、海外市場にも注力しており、海外専売のモデルも多く持っている。日本メーカーのクルマではあるが、日本で売られているクルマとは少し違った雰囲気をもつ海外専売モデルのなかには、「ぜひ国内導入を!!」と熱望されるクルマもたくさんある。
今回は、日産の海外専売モデルの中から、国内導入が熱望されているクルマを4つ厳選し、ご紹介していく。
■タフさを強調した力強いデザインの小型SUV「マグナイト」
「マグナイト」は、日産が、2020年10月にインドで公開した、コンパクトSUVだ。2021年初頭にインドで発売が予定されている。

トヨタライズ/ダイハツロッキーとほぼ同じく、全長4m以下、という小型なボディをもち、角型のLEDヘッドライト、従来のVモーショングリルとは異なるタイプの6角形大型グリル、ヘッドライトから下に伸びる縦型LEDデイライト、インテリアにはアルミ加飾を多用した豪華なインテリア、大型ナビゲーションモニターなど、実にスタイリッシュなSUVだ。

発売前であるため、価格やグレード構成、装備など詳細はまだ明らかとなっていないが、この力強いデザインでのエントリーSUVは、日本でも間違いなく人気が出るはずだ。
■欧州育ちのシャープでスタイリッシュなコンパクトカー「マイクラ」
「マイクラ」というクルマは、もともとは、日本の「マーチ」と同一モデルだった。しかし、2017年、欧州のマイクラのみがモデルチェンジでK14型となり、日本のマーチとは切り離された。いまも、日本のマーチは2010年登場のK13型のままだ。

このK14型マイクラは、先日発表された、「新型ノート」にも採用されている、ルノー日産の次世代上級小型車向けプラットフォーム「CMF-B」を採用している。
「CMF-B」は、日本よりも常用スピードレンジが高い欧州向けに開発されており、走行安全性と快適性、そして「質感の高い走り」を狙ってつくられているプラットフォームだ。ちなみに、欧州でVWゴルフに次いで人気のあるコンパクトカー「ルノークリオ(日本名:ルーテシア)」にも、このプラットフォームが採用されている。
K13よりも、全幅は拡大しつつ全高は低くなったことで、ワイドアンドロ―なスタイルを手に入れ、その走行性能もあいまって、「スポーツコンパクト」なイメージが強いK14マイクラは、クルマ好きには堪らないクルマだ。
■元祖コンパクトSUV「ジューク」
日産「ジューク」は、ご存じのとおり、日本でも販売されていたモデルだ。あまりに特徴的なデザインが影響してか、日本市場では初代モデルで途絶えてしまったが、欧州市場ではある程度成功したことから、2019年の2代目への代替わりの際、欧州専売モデルとなった。

この2代目は、初代よりもボディサイズが成長し、ボディサイドのキャラクターデザインや大きなVモーショングリル、シャープなテールランプなど、ずいぶんと洗練された印象となったが、初代譲りの丸形ライトなど、初代ジュークのチャームポイントはしっかりと残されている。
2代目ジュークもまた、マイクラや新型ノートと同じく「CMF-B」をプラットフォームにしたクルマだ。そのため、走りの質感の高さも期待でき、日本で発売されれば、初代並みのインパクトを残せるかもしれない。
■スポーティなミディアムセダン「シルフィ」
シルフィもまた、海外では存続しているものの、日本では打ち切りとなってしまったクルマだ。2020年9月、日本仕様のシルフィ(B17型)の生産が終了した。だが海外では、フルモデルチェンジした「B18型シルフィ」が、中国を中心に2019年から販売されており(北米では「セントラ」という名称で販売開始した)、日本導入が期待されていたモデルだ。

シルフィは、これまでにあった日産の小型セダンの中でも、ダントツにカッコいいエクステリアデザインをもつ。低く構えたボンネットや、大型で幅の狭いヘッドライト、フロントグリル左右にあるフォグランプ、そしてリアフェンダー上部に入ったキャラクターライン、また低い全高によってまるで4ドアのFR車のようにも見えるプロポーションも、良い意味で「日産らしくない」良さがある。ただし、全幅が1800mmを超えており、コンパクトとはいえないサイズ感となっており、1700mm前後を望む顧客が多い日本では、大きさが懸念されるかもしれない。
■まとめ
冒頭でご紹介したカローラクロスは、トヨタからのリリースはまだないが、2021年秋にも日本へ導入されるのでは!? という情報が出ている。

最後にご紹介したシルフィも、中国や北米で売られているモデルが、そのまま国内に導入されることは考えにくいが、e-POWERを搭載した改良型シルフィが登場する可能性はなくはないと考えられる。

シルフィがなくなると、日産の国内ラインアップで最も安いセダンが、400万円以上もするスカイライン、となってしまう。セダン需要が低下の一途である国内ではあるが、もうちょっと安めのセダンが欲しい顧客がいないわけではないだろう。

他にも、北米の「アルティマ」や「マキシマ」、「ムラーノ」など、日産の海外専売モデルの中にはカッコよいモデルがたくさんある。これらのクルマも、国内導入されれば、日産復活に貢献できるのでは、と思う次第だ。










Text:Kenichi Yoshikawa
Edit:Takashi Ogiyama
