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ガソリンスタンドで静電気除去パッドに触れないと起こってしまうこと

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安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

猛暑が終わって涼しくなると気になりだすのが、空気の「乾燥」ですよね。乾燥は、ウイルスの活動が活発になりやすいため、インフルエンザのみならず、新型コロナウイルスにも気を付けないとなりませんし、脅威に感じている方も多いことでしょう。

空気が乾燥する季節に、カーライフで気を付けなければならないのが、「静電気」です。クルマのドアハンドルで「バチッ!」となるのは何とも嫌なものですが、最も注意していただきたいのは「給油時」です。

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セルフのガソリンスタンドで必ず聞く、「静電気除去パッドに触れてから……」というアナウンスは、日常になりすぎて、「面倒だから端折っている……」という方も、多いのではないでしょうか。

静電気で引火することを知ってはいても、普段の生活ではなかなか意識できなかったりもします。静電気やガソリンの危険度、そして実際の事故事例をご紹介し、「あのアナウンスの大切さ」を再認識するきっかけとしていただきたいと思います。

ガソリンスタンドでの静電気火災の事例
日本で実際に起こった、静電気が原因と思われるガソリンスタンドでの火災の事例をご紹介します。

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・給油をするために給油操作をしたが、(ガソリンがでてくる)振動がなかったので、従業員を呼ぶために5~6メートル周囲を歩き、再び給油ノズルに触れようとしたところ、スパークが発生して引火。
・給油が終わり、おつりを受け取りに行っている間に、同乗者が燃料キャップを閉めようとして出火。
・バイクのドライバーが手袋をしたまま静電気除去シートに触れていたため、静電気を十分に除去できずに炎があがった。

このような場面、あなたにも起こりうると思いませんか?

静電気がどのくらいの電圧か、知っていますか?
クルマや玄関のドア、コンビニのスチールの棚などに触れ、「ビリッ」と痛みを感じる程度の電気的なショックが生じるとき、触れる前の人体には、おおよそ3000ボルト以上の電圧が帯電している、といわれています。この3000ボルト、という電圧は、蛍光灯のはしを持ち、反対側を別の人にもってもらうと蛍光灯が光るほどの大きさです。

ちなみに、AED(自動体外式除細動器)の電気ショックでは、電圧が1200~2000ボルトなので、それよりも、ずっと大きな値が発生していることになります。それだけ、静電気は、大きな電圧をもっているのです。

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ガソリンは気体になりやすく、引火しやすいことは忘れてはなりません。給油口のキャップを開けた時や、給油の真っ最中に、ガソリンの何とも言えない臭いがしてきます。あれこそが、気体となったガソリンです。つまり、目には見えなくても、ガソリンは、あなたの体のすぐそばまで来ているのです。

加えて、ガソリンの引火点はなんと、-40℃以下。つまり、真冬のどんなに寒い日でも、静電気やたばこなど、小さな火種さえあれば、すぐに引火します。気体となったガソリンが漂っているところへ、静電気が起きたら…。どうなるかは、わかりますよね。

ガソリンスタンド店員が「静電気除去」をしない理由は?

では、なぜガソリンスタンドの店員の方は、静電気除去シートに触れなくてもいいのでしょうか。その答えは「ユニフォーム」にあります。フルサービスのガソリンスタンドにいる店員の方のユニフォームは「静電気帯電防止作業服(JIS規格の名称)」の基準を満たしており、静電気が帯電しづらくなっています。

また、常に地面に足をつけていたり、金属の車体に触れていたりする、ということも、店員の方が帯電しづらい理由です。

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一方でドライバーの方は、クルマから降りる際に、シートと衣類が擦れることで帯電しやすい状況にあり、ノズルを触るまで、放電の機会がないことも。そのため、必ず静電気除去パッドをタッチすることが必要となるのです。

重ね着も帯電しやすい理由のひとつです。綿や絹、麻といった自然素材は帯電しにくいため、こすれあっても静電気は発生しづらいのですが、冬は、石油を原料とするアクリルやナイロンなどの合成繊維の素材のものを着る機会も多く、さらに重ね着もするため、少し動くだけでも服がこすれて、徐々に静電気をためてしまいます。

帯電しやすい体質の方は、給油のためにクルマから降りる際、シートから体をはなす前に,車の金属部分に触れながら降りると、静電気がドアに流れていくため、安全に給油することができます。

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給油以外のときも、車のドアノブに触るのが怖いときは、一度地面に両手をついてから、ドアノブに触れるといいです。それによって、放電することができます。

現在は、給油ノズルに静電気を逃がす仕組みが施されるなど、対策が進んでおり、セルフスタンドにおける静電気火災は減少しています。しかし、ガソリンが危険物であることに変わりはありません。

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給油前、静電気除去シートには、必ず触れましょう。日本では、死亡事故など、重大な事故は起こっていないようですが、静電気除去シートに触れなければ給油できない仕組みづくりも、必要なのかも知れません。

Text:Kenichi Yoshikawa
Edit:Takashi Ogiyama

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 吉川賢一(自動車ジャーナリスト)1979年生まれ。元自動車メーカーの開発エンジニアの経歴を持つ。カーライフの楽しさを広げる発信を心掛けています。

 



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