CAR ― 得するクルマ生活

アクセルとブレーキの踏み間違えはナゼ起きるのか?

2020.12.1 2020.12.1
2020.12.1
安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

「踏み間違えによる交通事故は老人が起こすもの」と、考えている方が多いのではないだろうか。実は、これは大きな間違いであり、事故発生件数は、むしろ若者のほうが多い。

交通事故総合分析センターによると、ペダルの踏み違えによる人身事故は、2013年には6,448件発生したが、この事故を起こしたドライバーたちに、年齢による偏りはそれほどなく、20代が22%と最多で、70代が17%、60代15%、80代、30~50代は各10%前後となっている。

20代はペダル踏み違え事故に限らず、全体的に事故件数が多いのに対し、高齢者は全事故に対してペダル踏み違え事故の割合が大きいのは事実であるものの、すべての年代で10%を超える一定数の割合がある。つまり、ペダルの踏み間違えは、誰でもやってしまう可能性があるのだ。

 

■踏み間違え事故の特徴

踏み違え事故の特筆すべき特徴として、発進時に事故が起こる割合が高い。全事故のうち、発進時の事故比率は 16.3% であるのに対し、ペダル踏み違えによる事故の比率は、 1.9 倍の 30.8% となっている。

また、踏み間違えによる事故の場合、他の交通事故に比べて大事故となりやすいのも特徴だ。事故を起こしたドライバーの多くは、アクセルをブレーキだと思い込んで踏み込んでいるため、かなりのスピードが出てしまい、周りからみると「暴走」状態となってしまう。そのため、大惨事につながりやすいのだ。

パトカーの事故の案内踏み間違えによる交通事故は老人だけのものではない。すべての年代で10%を超える一定数の割合があることは、我々も知っておくべきことだ

 

■踏み間違えが起こりやすいのは、後退時

もっとも危険なシチュエーションが、「バックで駐車をするとき」だ。
バックで駐車をするとき、ドライバーは身体をねじって、後方を確認しながら駐車をする。このとき、身体をねじることで、足の位置もずれてしまい、ブレーキペダルに足をのせていると思っていたはずが、実はアクセルペダルに足がかかっていて、ブレーキをかけようとペダルを踏み込んだとき、勢いよくクルマが後退。この勢いが強いと、クルマ止めを乗り越え、コンビニの店内へ突入してしまう、ということになってしまうのだ。

ほかにも、渋滞時や駐車場内など、ブレーキとアクセルを頻繁に踏みかえている状況でも起こりやすい。ペダル操作を頻繁にしているうちに、右足のかかとの位置がずれていき、間違えてしまうことがあるという。

また、踏み間違えた際、ドライバーが自分の意図しないクルマの動きに動揺し、反射的に間違って踏んだアクセルペダルをさらに踏んでしまう、という傾向もあり、これも事故につながってしまう要因となっている。

車でバックするドライバーもっとも危険なシチュエーションが、「バックで駐車をするとき」だ。身体をねじることで、足の位置もずれてしまい、ブレーキペダルに足をのせていると思っていたはずが、アクセルペダルに足がかかって、ということもある

 

■踏み違えをおこさない対策

1.右足はブレーキペダルに対して、まっすぐに 
右足の位置を、ブレーキペダルに対してまっすぐに配置し、ブレーキはかかとを床につけて踏み込む。アクセルを操作するときは、ブレーキペダル側にかかとを付けたまま、足先をアクセルペダルへ「クルッ」と回し、踏み込むようにする。かかとの支点を動かしてしまうと、アクセルとブレーキの間に足が落ちてしまったり、混乱して誤操作に繋がりやすい。

2.クリープ走行をつかって、前進か後退を認識する
発進する際にはメーター内のインジケーターをチェックし、進行方向に間違いがないかを確認してからブレーキを離す、というクセをつけることが大切だ。後退時にも、アクセルペダルを「グッ」と踏む必要はない。クリープを活用して、ちょっとずつ動かすような、丁寧な運転を心掛けよう。

車のペダルアクセルを操作するときは、ブレーキペダル側にかかとを付けたまま、足先をアクセルペダルへ「クルッ」と回し、踏み込むようにする

■安全装備は、あくまで補助的なもの

近年の新型車では、悲惨な事故を防止するため、衝突被害軽減ブレーキをはじめとした、急発進を防止する装置を標準搭載するクルマが増えている。国としても、主に高齢者を対象として「安全運転サポート車」(セーフティー・サポートカー / サポカー)の制度を開始しており、衝突被害軽減ブレーキと共に普及を推進している。

しかしこれらは、あくまで踏み違え予防に対する補助策でしかなく、絶対的な防止策ではない。「ハンドルを握ったら、焦らずおごらず冷静に」。これを心がけ、ひとつひとつの操作を慎重に行うことが必要だ。

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車のペダル

踏み間違え予防に限ったことではないが、長い渋滞中や、身体が疲れているときなど、頭がボーとしてきたら要注意だ。頭が冴えているときには平気でも、蓄積した疲労によって、運転姿勢が崩れ、ペダルの踏み方も変わってきてしまう。

そうなったら、5分でいいので休めるところで休憩をしよう。5分程度の時間のずれで、その後の運命はそうそう変わらない。それよりも、事故を起こして損するリスクの方が、はるかに高い。

Text:Kenichi Yoshikawa
Edit:Takashi Ogiyama
Photo:AC

吉川賢一の顔写真吉川賢一(自動車ジャーナリスト)1979年生まれ。元自動車メーカーの開発エンジニアの経歴を持つ。カーライフの楽しさを広げる発信を心掛けています。

 

 

 

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3 件のコメント

  • ゆたぽん 2020.12.29

    書き切れなかったので追記 >後退時にも、アクセルペダルを「グッ」と踏む必要はない。 それどころかアクセルを踏む必要すらない。{R」ポジションに入れたら、ブレーキぺダルから足を動かさず、ブレーキを踏む力を加減する事によって後退速度を調整するようにする。「アクセルを踏むな!」を明記すべき。

  • ゆたぽん 2020.12.29

    極端に言うと >バックで駐車をするとき、ドライバーは身体をねじって、後方を確認しながら駐車をする。 これ事態が間違い。ねじる事により、体は安定しない、ハンドルが逆操作、踏み間違い等を起こすので「基本的に後方を直視せずミラー等で確認を行いつつバックする。その際、真後ろは見えにくいので、駐車時の最後以外、まっすぐににはバックせず、必ずカーブを描いてバックする」が良い。

  • シーガ 2020.12.02

    踏み間違いの原因多面から分析されていて運転に役立ちます。もう一点身体への適合性の問題はどうですか。ハンドルと身体の軸を合わせたとき右足が自然とアクセルに載るのが最近の大衆車。この記事の写真でもブレーキは足を内股にしないと踏めない。昔の車は軸からもっと離れていた。ブレーキペダル中心は軸から最低20cm必要。最近ブレーキが軸に寄ってきたのは、居住空間を広くするためアクセルが前輪横になった。身体適合性が犠牲になり、無意識にアクセルに載りやすくなったのではないか。昔の車のペダル配置を比較してはどうでしょうか?

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