少子化が叫ばれて久しい。出生率は右肩下がりを続け、8月30日に厚生労働省が発表した1〜6月の人口動態統計(外国人を含む速報値)によると、出生数が前年同期比5.7%減の35万74人だった。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「3年連続で40万人を下回り、上半期としては比較可能な1969年以降で最少を更新しました。このままいくと年間の出生数は70万人を割り込む可能性もあるとのことです。恐ろしいですね…」。
しかし、若い世代が子供を海育てるのはなかなか厳しい現状もある。
「物価は上がり続けるのに上がらない給料。自分たちが生きていくので精一杯という人も多いのではないでしょうか?大学まで行かせるとなるとその金額は莫大なものになり、今後はさらに増えると考えられます。今でさえ7割くらいの人が奨学金でなんとか大学に行くというのですから、時代は大きく変化していますよね…」。
子供を育てるのは、金銭面はもちろん精神面、肉体面でも大きな負担がある。今回はそんななか一生懸命子育てをしているあるパート主婦に話を聞いた。
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菅原未知さん(仮名・44歳)は、小学生と中学生の娘を育てる母だ。普段はパートと在宅ワークで家計を支えているそう。
「中学生になり、さらにお金がかかるようになりました。制服代に塾の費用、食費も馬鹿になりませんし、夫の給料だけでは足りません。休みなく働いてなんとか育ててるって感じですね。これから高校、大学を考えるとちょっと怖いですもん。お金すごくかかりそうですよね…」。
未知さんは必死で育てるが故に感じる歯痒さがあると話す。
「私は100円均一で働いているんですけどね。最近すごく気になっていることあるんです」。
そう言い淀む未知さん。
「同じ親ですし、あんまり非難はしたくないんです。でも、こういう人がいるとただでさえ、少ない子供たちが不用意に大人に非難されて育つようになるんじゃないかと心配になるんです」。
パート先の100円均一には朝から多くの人が来店するそう。
「かなり大きめの店舗なので、商品の陳列だけでもすごく大変。私自身も思いますが、100円均一って商品が所狭しと並んでいるでしょう?だから、見つけにくいんですよね。だから話しかけられることもしょっちゅうです」。
その度、陳列の手を止め、案内をするらしい。ある日、ご高齢の女性を案内していた時のこと。目の前に急に現れた子供に驚いて未知さんはのけぞりかえったのち、尻餅をついてしまったそう。
「本当に呼吸が止まるかと思いました。ご高齢のお客様にぶつかって倒れなくて本当に良かったです。ぱっと周りを見渡したのですが、親は見当たらなくて…」。
ーきゃー!
走り回る子供たちの声がこだましていたそう。
「お客様のご案内を終えて、親に注意を促そうと探したんですが見当たらず。仕方なく子供達に直接、話しかけました」。
ーお店の中は危ないから、走り回らないでね。