赤信号で止まっていると、後ろのクルマが、道路左脇の交差点に面したコンビニの駐車場へ入っていったと思ったら、本来なら左折すべきところをショートカットしていった……。こんな光景を目にしたことはないだろうか。
通常「コンビニワープ」といわれる、この行動。もちろん、コンビニに限らず、ガソリンスタンドや飲食店の駐車場などでも、同様の「ワープ」が行われている。これら「ワープ」をしてくるクルマは、赤信号を待つことができないドライバーであるためか、結構な速度で駐車場へ入ってくることが多く、歩行者にとって非常に危険。2020年には、3歳の女の子を、ショートカットしてきたトラックが跳ねる、という悲惨な死亡事故も発生している。「コンビニワープ」の違法性と実情について考察しよう。
■取り締まることは可能
一見、違法性がないようにみえる「コンビニワープ」。しかし、取り締まることができる法律はいくつかある。たとえば、コンビニの駐車場へ入る際には、多くの場合、歩道を突っ切ることになるが、道路交通法第17条第2項において、「車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない。」と定められているため、これらのクルマが歩道の手前で一時停止をしていなければ、「一時停止不履行」として取り締まることは可能。
また、コンビニの駐車場は私有地ではあるが、コンビニの駐車場のような不特定多数が安易に出入りできる場所は「公に供される場所」つまり「公道」という判決が過去にある。公道であれば道路交通法の規制の範疇であり、前方不注意や安全不確認、安全速度違反や動静不注視などが認められれば、安全運転義務違反(道交法第70条第1項)などで取り締まりを行うことはできるはず。
さらに、コンビニの店舗を利用することなく、ワープをするためだけ駐車場に進入することは、店舗の意思に反する(=店舗の承諾がない)利用であることから、「建造物侵入罪」に問うことができる可能性もある。
■コンビニ側の対策は難しい
コンビニを利用する人の安全を脅かす「コンビニワープ」は、コンビニ側としても、大変迷惑な行為。しかし、対策は難しいようだ。対策をしようとすると、ポールやガードなど、何らかの障害物をおくことになるが、コンビニとしては、クルマが行き来しにくくなるような対策は売り上げにも影響することから難しいという。
現時点では、多くのコンビニが、「通り抜け禁止」や、「駐車場内で起きた事故については一切関与しない」という張り紙を掲げるなど、予め事故やトラブルへの不介入の態度を示しておくことで、未然対策をするにとどまっているようだ。