「まずは座学研修です。事前に送られてきたマニュアルを読み、講師(男性・女性)に、エスコートやコミュニケーション術、性感マッサージの一連の流れを指南してもらいます。
仕事などで研修に参加できないメンバーは、動画でも視聴可能なシステムになっていましたね。
ある程度の技術を身に着けると、実技研修に入ります。その時に欠かせないのが『女性モニター』です」
女性モニターとは何だろうか?
「新人セラピスト育成のために協力してくれる女性のことです。店のHPで募集するのですが、20代~60代まで様々な女性がいましたね。純粋に性的好奇心が強い女性、女風に行きたいけれど勇気がないから最初はモニターでという方、すでにお客様として利用し、『新人育成に協力したい』という主婦の方もいました。
最初は三名での実技(男性講師と女性モニター、研修生)、次に女性モニターと研修生がマンツーマンで。モニターの方は、きめ細かなフィードバックをくれるので、とても助かります。
例えば、待ち合わせ場所での合流の仕方。ホテルまでのエスコート。施術前のカウンセリング。バスルームへの誘導。女性の全身洗浄。ベッドへの誘導。ベビーパウダーやアロマオイルでの性感マッサージ。施術後のバスタイム。帰り支度をして別れるまで。これらすべてをチェックしてもらいます。
言葉遣いや会話、対応のひとつひとつも丁寧にジャッジしてもらいます。もっとも力を入れているのがカウンセリングですね。女性の心身を傷つけないためにも『NG事項』は詳しく聞いています。
人によって感じる部分は違いますし、好きな力加減も異なります。ソフトなフェザータッチをリクエストされる方、逆に痛いほどの激しさを求める方。僕らはお客様の反応を見ながら 施術しますが、やはりそれには限界があります。
デビュー後に困らないためにも、『あれは良かった。ここはダメだった』とフィードバックをくれる女性モニターはありがたい存在です」
研修は無料だが、プロフィール写真は店が勧めるフォトスタジオで撮影し、1万~1万5000円かかるそうだ。
後編は、デビュー後の男性セラピストに迫る。
Text:蒼井凜花