2018年頃から急増し始めた女性用風俗、通称「女風」。
同年は、石田衣良の小説「娼年」が松坂桃李主演で実写化された影響もあり、女風の認知度が高まった。現在、風営法の届け出を出していない店も合わせ、全国で500店舗ほどの女風が存在すると言われている。
今回、取材に応じてくれたのは、アウトドア用品メーカーの営業マンとして働くかたわら、某女性用風俗店「A」に所属する男性セラピスト・カイトさん(仮名・29歳)。
長身にシックなスーツが似合う彼は、学生時代は水球部だったという。営業マンらしくにこやかに話す姿は好感が持てる。セラピスト歴は九カ月だ。
カイトさんは、セラピストになった経緯を次のように語る。
「将来は起業するつもりでした。それで、その運転資金を稼ごうと思ったのが一番の理由です。コロナをきっかけに働き方は大きく変わりました。リモートワーク中心となり、自分の時間が増え、同時に将来についても深く考えるようになったんです。
ネットで女風を調べてみると、僕のように昼間は会社員として働く『兼業セラピスト』が圧倒的に多いんですね。そこで現在所属する『A』に応募しました。HPがしっかりしていたのと、新人育成にも熱意を感じたことが決め手でしょうか。最初は個人面接をし、合格をもらってから研修に進みました」
第一関門である面接で受かるコツはあるのだろうか。
「ある程度のルックスとコミュニケーション能力は大事だと思います。性感マッサージの技術はトレーニングを積めば上達しますが、それ以前にHPに載せる写真やプロフィールを読んだ女性に選んで頂かねばなりません。セラピストとしてデビューした際は、施術以外に『女性と楽しく話せるか』『マナーや言葉遣いは適切か』など、接客業の基本が求められます。
事実、研修に入った時は、ルックスが良くて話しやすい、気さくな雰囲気の男性が多かったですね。メイン年齢層は20代前半から30代半ばでしょうか」
©️gettyimages
HPを見ても上位のセラピストは美青年が多い。一方で、顔にモザイクをかけている男性もいるが、カイトさんはどうだろう。
「顔出しはしていません。何かの拍子に会社にバレてしまったら困りますから、顔の中央にぼかしを入れています。写真では白いシャツの前ボタンを外してベッドに横たわり、胸筋と腹筋をアピールしています。ヘアスタイルも前髪を斜めに流してお洒落な雰囲気を漂わせていますね。
プロフィールでは『トーク上手』『優しい』『昼職あり』などアピールしています。実は『昼職あり』は女性に安心感を与える大きな要素です。専業セラピストではなく、昼間ちゃんと働いているという背景は、社会人としてのマナーや言葉遣いの丁寧さ、世間慣れしているという印象を与えるようで、意外にも人気なんです」
言われてみれば納得だ。一社会人として真面目に働いている背景は、安心感はもちろん「昼間はどのような一面を持っているのだろう?」という興味へも繋がる。
気になるのは研修内容だ。どのようにしてセラピストとしてデビューするのか。