それは、ハワイに着いて3日目の夜だった。
2人で相談者が作った手料理と、ワインを楽しんでいたはずだった。その中で、林田が突然、こう言いだしたのだ。
「2週間、ずっとここに泊まるんでしょう? だったら、宿泊費と食事代、あと今日のボートツアー代で、前金で5000ドル払って」
「え? あなたの部屋に泊めてくれるって……」
「あ? 何言ってんの? 誰がただで泊めるって言った? 厚かましいんだよ」
彼女は、林田がまるで別人のように豹変したことを、全く受け止め切れずにいた。
「え? 何かの冗談? どうしちゃったの? 一体……」
とまどう相談者に対して「金払えって言ってんだよ! ほら、出せよ」と、林田が怒鳴る。
林田から発せられる「ただならぬ」気配から、従った方が良いということを察した。
しかし、彼女は現金がそこまで必要だとは考えておらず、クレジットカードがあるのみで、手持ちの現金は1000ドルほどだった。
それを林田に伝えると、クレジットカードを自分に渡すようにと言われた。
彼女が拒んでいると、林田は立ち上がり、突如テーブルの向かい側に座る相談者の髪を掴んだ。
Yahoo! 配信用パラグラフ分割
©︎gettyimages
林田は、相談者の髪を引っ張りながら椅子から引きずり降ろすと、彼女の腹部数回を蹴ったあと、頬をめがけて拳を振り下ろした。
その後、意識がもうろうとする彼女を1階のもの置き小屋に入れ、彼女のバッグの中にあった財布からクレジットカードを抜き取ると、更に暴行を加え、暗証番号を聞き出したそうだ。
翌日から、彼女にとって地獄の様な日々が続いた。そして探偵に「スタンガンを一緒に買いに行ってほしい」と乞う事態に発展する——。後編に続く。
TEXT:探偵 こころたまき
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