「私、娘がそう言い放った時、同じリビングにいる夫の方を見られませんでした。泣きそうな顔してたらどうしようかと思って」
以前の夫なら、娘に何か言われたら、どんなバカバカしい冗談にでもしっかり応じていたし、強めに突っ込みを入れることもできていた。
しかし、最近は言葉ひとつ出てこない。拒まれていることをわかっているからだろう。
「ずっと元気がなくて、かわいそうで。そこへ来てとどめのように目の前で父の日なんて要らないと言われて……。
私もさすがにそれは言い過ぎだと思いました。あと、友達の前でしか使っていなかった”なくね?”という、夫が嫌いな言葉遣いも娘はわざわざ使ってましたね」
娘自身も自分で制御できない何かに突き動かされているはずだと考えていたますみさん。
それまではどんなに理不尽であっても、娘の態度を責めるべきではないと思い、夫には「今だけだから、少し我慢しましょ」と励ましていた。
「私も通ってきた道なので、父と目を合わせられないとか自然に話せないとかは理解できるんです。
でも、積極的に人を傷つけるような言葉は、いくら思春期でも許せないなと思ったんです。私が夫をかばってあげなくちゃ、って」
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