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LIFESTYLE 女たちの事件簿

【後編】「優しい夫が実の母の背中を……」姑の介護に翻弄される中年夫婦が迎えた悲惨すぎる結末

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「内容としては、私が千枝さんの家のものを盗んだということでした。昨日のご馳走も高いシャンパンも、お財布も箪笥貯金まで何から何までなくなっているとほとんど叫び声のようでした。もちろんそんなことしてないと言いましたが、聞く耳はまるでなくて……困り果ててしまって」

結局は千枝の家のインターホンがなったようで、電話がブチりと切られた。

「夫の話では千枝の叫び声に驚いた近所の友人が訪ねてきてくれたそうです。それもあって夫が実家についたときには、いつも通りだったと。ただ、そのご友人から最近ちょっと千枝さんが変だと話を聞いたそうなんです」

どうやら一緒に通っているお茶でのお稽古でも同じようなことがあったらしい。

「誰かがカバンから財布を取ったとか、携帯の中身を盗み見られているなんて騒ぎ出すことがあったそうで、友人の間ではもしかしたら……とささやかれていたとのことでした。夫は落胆していました。千枝さんはすごくきちんとした人でしたから、ショックだったんでしょうね」

貴子と夫はまずは病院に行って診てもらうことが先決だと考えた。しかし、千枝は首を縦に振らなかった。

「何も悪いところはないと。結局、病院につれていくのに1ヶ月もかかってしまいました。その間も私のところには、夜であれ、朝方であれ、お構いなしに電話がかかってきたり、急に訪ねてきて罵倒したり、心身ともに限界でした。だから病院に行ってくれたとき、これで解放されると思ったんです」

診断結果はアルツハイマー認知症。症状はかなり進行しているとの話だった。

「アルツハイマーはゆっくり進行すると思い込んでいたのもよくありませんでした。物忘れがひどいと気がついたときに病院につれていっていればよかったと本当に後悔をしました。でももはやどうしようもありません。千枝さんを1人で置いておくわけにはいかないし、医師や夫と相談して介護付きの有料老人ホームに入ってもらおうと考えたんです。でも……」



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