うっすらとしか聞こえなかったが、どうやらすみれが家に犬を連れてきたことについて話をしているようだった。
「犬連れ、家に上がる、ありえない…そんなキーワードが断片的に聞こえてきました。私は驚いてしまいました。彼女は犬が好きだと思っていたものですから……」
驚きを隠せないすみれをよそに、彼女たちは遊歩道を歩きながら話を続けていた。するとベビーカーに乗っていた子どもが駄々をこねだした。立ち止まった彼女はその子をあやし、母親に確認をするようなそぶりをみせ、抱き上げたという。
「翔と凛は私にとっては子ども同然です。他人の子どもは抱けるのに、私の子どもたちは家に入れられない……そんなのおかしいじゃないですか」
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