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LIFESTYLE 女たちの事件簿

閉学の恐怖は高校にも。「SNSでバズらせ、受験者増!」を狙った校長に、PTAが大激怒。経営難の私立高の深すぎる闇。

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杏美さんだけが悩んでいるわけではない。当然、上層部はもっと思い悩んでいるのだろう。
「ここ2、3年は特に迷走がひどくて……。まずは制服をオシャレにすれば志望者数が増えるのではないだろうかと、2年前に新しい制服を作りました。『多様性』にも対応できるようにと何パターンも作って組み合わせを自由にして、女子はパンツかスカートを選択できるようにもしたのです。ただ、上層部の思う『オシャレ』っていうのがどうもズレていたみたいで、在校生からはダサくなったと不評でした。

そのうえ、保護者からは『何パターンもあると子どもがいくつも欲しがるので無駄にお金がかかる』というクレームの電話が何件か来ていました。残念ながら『制服がオシャレだからあの高校に行きたい』と思ってくれるような中学生はいなさそうですね……」

苦笑いしている杏美さんは、新制服の案をいくつか提示されて自分が良いと思うものを上層部に伝えたそうだが、蓋を開けると全く違うものになっていたそうだ。

「私よりもっと若い教員たちも意見を聞かれたそうですが、『これが良いと思うと伝えたものとは全然違う制服になっていて驚いた。』とみんな言っていました。結局は上層部の校長や教頭たちが、自分たちの好みのものにしてしまったのでしょうね。あとはまあ、経費の問題などもあったのかもしれませんけど……。」

「ご時勢に伴って学校のSNSを運営しようと校長や教頭が言い始めて、『若いから使い方を理解しているだろう。』ということで私の後輩の20代女子教員が学校SNSを始めさせられました。『バズるように、よろしく頼むよー。』などと言われてとても嫌がっていて、私はその愚痴を聞く係をしていました。すると校長に、『君も一緒に担当してもらおう。』と言われてしまって、仕方がなく彼女と一緒にSNS運営を始めたのですが……。」
杏美さんはここでとても重いため息をつく。

「職業柄、私自身は本名を隠してSNSを少しやっている程度だったので、載せる写真のチョイスやタグ付けなんかは彼女に任せて、私は写真に写っている生徒やその保護者に許可を得るための連絡などを担当していました。でもそれがもう、本当に大変で……。もちろん、顔にはモザイク加工をしますよ。でも、電話連絡した時には『えー、うちの子の写真? どうぞどうぞ、使ってください。』と言っていた保護者が、SNSに載った写真を確認して『あんなものを載せられるのは困る。削除してほしい。』と後から怒ってくることがとても多いんです」

杏美さんが口頭でどんな写真を載せるのか説明している時に、多くの保護者は写真が実際どのようなものなのかあまり理解できていないのではないかと杏美さんは考えた。そこで、載せる予定の写真を一度保護者の方に送って確認してもらうことを上層部に提案して受け入れてもらった。

それでも、問題は解決しないのだ。



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