「妙に大胆になれるんですよね。共犯意識というか、2人で悪いことしてると思うと興奮の度合いが違うんですね。知らなかったです」
落ち込んでいるはずの七海だが、時折塚原とのことを思い出すのか、頬を紅潮させ、悪びれもせず口早に語った。
「塚原さんのやることなすことが良くて、思い出してもウズきます。いちいちかわいいとか言ってくれるし、体のパーツのひとつひとつを褒めてくれて。時間をかけて丁寧にしてくれて…。ダンナは自分のことしか考えないサイテーなやり方しかできないから」
ベッドの上の夫の身勝手さを思い出したらしく、七海は眉間にしわを寄せた。
「いえいえ、ダンナとなんか完璧レスです。もともとその行為が好きってわけでもないから、欲求不満で不倫に走ったとかじゃないですよ、誤解してほしくないです」
色を好むタイプでもないのに、不倫が始まったとたん沼にハマった理由は、背徳感が癖になったからとでもいうのか。
「塚原さんと会っていて、自分のことが好きになれました。こんないい男に求められてる自分最高っていう感じです。良い体してるなんて言われたことがなかったので、自信も持てたし。昇り詰める感覚とか知らなかったんですが、それも教えてもらいました」
塚原との約束を控えた前日は、楽しみすぎて寝付けなかった。最初のうちは、PTA役員として会う口実にと、交わすための教育論をいくつか用意していったが、そんなものはいつしかどうでも良くなった。七海はそう語りながら、ますます頬を赤らめた。羞恥心ではなく、興奮がそうさせているように見えた。
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