【後編】乳がんで27歳で片胸を全摘。無力感に打ちひしがれる女性を救い出した、夫の一言

「由美があまりに嫌がるから、僕も見るまで緊張したよ。確かに二つの胸の形は違うけど、ちっちゃな胸と大きな胸って感じだね（笑）」

「彼の言葉に思わず笑ってしまいました！　ちっちゃな胸……そっか、そんな風に見えるんだねって思いました（笑）。なんだか気持ちが楽になりました。夫もなんだか楽になった感じでしたね」

傷口や自分の見られたくない体を見てもらったことによって、夫婦の間にあった壁が崩れていった瞬間だった。

その日を境に、術後かたくなに避けていた娘との入浴も再開した由美さん。

「お風呂だけじゃありません、二人の前で着替えることも避けていたのですが、その日以降気にせずに洋服を着替えるように。主人に見せたことによって、家族の前で傷口をさらけ出すことに抵抗がなくなりました。隠し続け、見られないように、見られないようにしてきた自分。今は『これが私の身体だよ』と言えるようになってきました」