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政治家の失言にウンザリ。「LGBT」「発達関係」の炎上から考える、多様性の「覚悟と忍耐力」

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

あなた方、二人揃って「多様性」に引っ叩かれるといいよ

先日、ナナメウエ発言でお馴染みの杉田水脈氏(総務政務官)が、参院予算委員会において過去のLGBT・民族差別発言を撤回・謝罪しました。

杉田氏は「LGBTカップルは生産性がない」という内容を寄稿した雑誌が、その余波で休刊(ほぼ廃刊)するなど、とにかく抜群の破壊力をお持ちであり、今回はその件に加え、チマチョゴリやアイヌ民族衣装のコスプレは「品格に問題がある」とした、過去のブログ記事も謝罪したそうです。

右も左も……

まあ杉田氏の発言については今さら言及するまでもありませんが、一連の騒動もこれでいったん幕引きかと思っていたら、このタイミングで新キャラが登場。元民主党議員で精神科医師でもある水島広子氏が、杉田氏の謝罪に反応してこんなツイートを投稿しました。

「杉田総務政務官については、精神科医として、おそらく正しい評価ができていると思います。ここでお話しするのはいろいろ差し支えると思うので避けますが、発達関係の問題がある人なのではないかと思います。正論をぶつけても、意味がない。政府からお引き取り願うしかないと思います。」(水島氏のツイッターより)

あらら、現職の医師が診察もせずに「発達障害」だと診断したうえに、病気を抱えている人間は政治に参加してはいけない、という強烈なバズーカまでぶっ放しましたよ。もちろん非難殺到です。その後「私は『発達関係の問題がある人』としか書いていない」(=発達障害だなんて言っていない)という無理のある反論でさらに火に油。本記事の執筆時点でもまだ燃え続けています。

さて……LGBTや民族文化、ハンディキャップって、昨今はやりの「多様性」のド真ん中に鎮座される横綱級なんですけど、杉田氏と水島氏、保守とリベラル揃いも揃って、多様性について全くご存知ないようです。

お花畑ではありません

誤解して頂きたくないのですが、私は「多様性って素晴らしい!違いを認め合う素敵な日々を!」なんてお花畑トークがしたい訳ではありません。むしろ逆です。いや、多様性は重要ですが、そもそも「多様性」ってそんな生ヌルイものではないんですよ。

多様性を尊重した社会とは「これは無理。頑張ったけど理解できない。受け付けない。苦手」というモノでも、その存在は認めて我慢して、共存する世界。気に入らないモノ、苦手な表現への忍耐の連続。求められるのは覚悟と忍耐力。これが多様性です。

そもそも社会とはそういうものだし、私たちの社会はすでに多様性で成り立っているのに、どうも最近、杉田氏、水島氏みたいな方が増えています。自分で作った「身勝手な基準」を振り回し、それに合わないものは排除。気に入らないものは「悪」だから潰してもOK。ちなみに悪かどうかは私が決めますねって……気に入らないものは認めないと言うのなら、仮に世間がアナタを「気に入らない」と判定したら、アナタだって排除されますよ、と聞けば「私はちゃんとしているので大丈夫」。自分が投げたブーメランは自分に刺さらないという謎ルール、不思議です。

多様な人たち

世の中の最低限の「善悪」は、すでに法律というガイドラインで定義されており、それでカバーしきれないモノは、個々の考え方や主義、道徳に依存しています、つまり人それぞれ。強要は出来ないし、ましてや誰かが指導をするものでもありません。

私たちが多様性のある世界を作り上げるには、バリアフリーや他文化への理解なども、もちろん重要なのですが、それ以上に

「私が決めます、私が正しいので」

という勝手な物差しを振り回す人とも、ちゃんと話し合って分かりあえないで殴り合う、というプロセスが避けられないのでしょう。なぜなら、そういう人たちもまた多様性の一部だからです。

とは言いつつ、今回の件は、曲がりなりにも政治に片足や両足を突っ込んでいる、多様性溢れるお二人のお話だったので、もうちょっと頑張って勉強してほしいと感じました。

Text:Ken Ogiso



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