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LIFESTYLE 女たちの事件簿

【後編】乳がんで27歳で片胸を全摘。無力感に打ちひしがれる女性を救い出した、夫の一言

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「退院して、自宅でテレビをつけたら、グラビアアイドルの水着姿が目に飛び込んできました。当たり前だけど……彼女たちには胸のふくらみが二つある。何とも言えない気持ち、嫉妬心やうらやましいという気持ち。同時に、乳房を売りにしてテレビに出ているということに許せない思いが、今まで感じたことがなかったような気持ちが沸き上がってきたんです。すごく頭にきた、という感じでした」

それだけではない、由美さんはお見舞いに来てくれる友人、定期健診で訪れた病院で対応してくれる看護師さんたちの胸のふくらみまで気になってしまい……ノイローゼのような状態になってしまった。

「女性の象徴としてあった胸を失ってしまった私。母親でもあった私は、子どもに授乳できなくなったことへの喪失感も大きかったです。だって、子どもに母乳をあげるというのは一種のコミュニケーションなんです……。それができなくなったということも、すごく悲しくって。子どもに対して、ごめんねっていう気持ちでいっぱいでした」

「申し訳ない」気持ちは、娘にだけではなかった。由美さんは夫に対しても「申し訳ない」という思いを抱き続けていた。

「変な話、男性だから、乳房は好きですよね。それを一つ失ってしまった私。お風呂場に大きな鏡があって、胸が一つしかない自分の姿と傷口を見て、なんか私もう人間じゃないみたい……そんなふうに思ってしまい、しばらく自分自身をまともに見ることが出来ませんでした。

自分でも直視できない体を、どうして夫に見せることができるでしょうか! 絶対にできない! 夫が私を求めてきても、体を見せることも触れられることも恥ずかしいし、嫌でした。彼がどう思うか、気持ち悪いって思われるんじゃないかって不安だったんです。

夫は、『気にしていないよ』って言ってくれるけど、そんなはずはない! 母親としても女としても役立たずな自分。本当に申し訳ない気持ちでした」



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