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『史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記1980-1989』のプロローグを読む

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そして4人は、遂に夢の舞台「ニューヨーク」の一歩前までたどり着いた。
たった2人しか立つことができない「自由の女神」眼前の約束の地。その切符をかけた4人の戦いは熾烈を極めた。
行われたのは「激戦!!通せんぼクイズ」。
早押しクイズで3ポイント獲得すると「通過席」と呼ばれる席に移動することができる。その席で最後の一問を正解することができると通過できるというルールだ。しかし、この一問に誤答したり他の挑戦者が阻止すると、0ポイントになり元の席に戻される。だから通過席に行ったとしても、何度となく阻止され戦いは『ウルトラクイズ』史上屈指の長さとなった。
まさにかつての「ボルティモアの戦い」そのものだった。
「クイズが始まったら決してカメラを止めてはならない」
それが佐藤孝吉が掲げた『ウルトラクイズ』の決しておかしてはならない“憲法”のひとつだった。なぜなら『ウルトラクイズ』はドキュメンタリー。ひとたび中断してしまえば挑戦者たちの感情がつながらなくなってしまうからだ。けれど、用意された問題は尽きようとしていた。慌てて予備の問題を準備し始めるが間に合わない。カメラのテープも尽きようとしていた。
「ここで一旦休憩!」
ついに“憲法”を破るときが来てしまった。それだけ4人ともが一歩も引かない制作陣の予想を遥かに上回る激戦だったのだ。
「13年の歴史の中でもっとも素晴らしい戦いだった!」
福留功男は戦いを終えた若者たちをそう称賛した。
演出の加藤はこの激闘の後、すぐに日本に残っているプロデューサーに電話をした。
「放送時間を延ばしてくれ!」
加藤のただならぬ熱意が伝わり、本来1時間30分の放送時間が最終週のみ2時間に拡大した。異例のことだ。
そしてこの戦いは“伝説”となった。
すべての回がそれぞれ名作と呼ばれる『ウルトラクイズ』の中にあって、とりわけ『第13回』が特別な大会といわれる所以である。
長戸を始めとする出場者たちとそれを司る福留功男、そして加藤就一ら裏方たち。彼らがせめぎあいながら作り上げた“映画”のような物語だ。
その“主人公”である長戸勇人はしかし当時を振り返ってこう言った。
「実は『第13回』は、“始まる前”がいちばん面白い」
太陽のように人を惹きつける笑顔だった。
まずはそんな“始まる前”の物語をしよう。

 

続きは、ぜひ本書で!

『史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記1980-1989』  2035円


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