「こんにちは。先日電車の中でメモをいただいたものです……。覚えていらっしゃいますか?」
すると、修史から即レスが。
「もちろん覚えていますよ! 嬉しいです!!!! もう連絡もらえないかと思っていました」
「あのとき、どうしてももう一度お会いしたいと思ったんです。不躾なのはわかっていたのですが、すみませんでした!」
修史は明るくて気さくで、一緒にいるだけで元気をもらえるような男性だった。生真面目で寡黙な夫とは正反対の性格が、麻希の心を癒していった。
独身時代に誰にでもいい顔をする彼との恋愛で随分苦労した麻希は、実直で寡黙、女性関係では苦労することはないと思える、いわゆる冴えない系の夫と結婚。思った通りに女性関係では問題がないものの、寡黙すぎて夫婦関係がつまらない生活に陥り、もっぱら仕事に励む日々になっていた。
そんな日々での、突然の修史との出逢いは麻希に彩りを与え始めていく。
©Getty Images
仕事の合間を縫い、出張と言って麻希は修史との逢瀬を重ねた。
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