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初恋の人に会いたい! サレ妻を変えた「運命の人」との再会

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

自分には故郷(ふるさと)がない、少なくとも自分自身ではそう思っていた……。

故郷があるとすれば、6年前に購入したニュータウンエリアと言われるこの街か、それか大学時代に暮らした中央線沿線。

いずれにせよ、東京近郊の漠然とした地域が、敢えて言うと自分の故郷だと思っていた。

熊谷舞(仮名/37歳)には、ここ数日、いつも思い出す情景がある。

見渡す限りの緑が広がる北海道の大地、25年ぶりに再会したあの人との約束、そして、未だに隣で寝ている夫の本性……。

今回は、「先日のあの出来事以来、私の心はこの街にはありません」という舞の話を紹介しよう。

※この記事は取材を元に構成しておりますが、個人のプライバシーに配慮し、一部内容を変更しております。あらかじめご了承ください。

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前編はこちら

彼の消息

「結論からまずは申し上げましょう。田宮雅史(仮名)さんですね、元気にされていましたよ」

それから清水は、1枚の資料と写真を見せてくれた。

「捜索対象者様の現況」という表題の資料には、彼に関するあらゆる情報が記載されていた。よくぞまあ1週間でこんなにも調べつくしたと感心する内容だった。

だが舞は、その資料以上に、写真に惹きつけられた。彼の横顔が映った写真が何枚か。車に乗り込む姿を撮った真正面からの写真もあった。

「あ……面影がある」

優しい彼の表情から、彼にとってのこの25年の歳月が穏やかに過ぎていったことを読み取ることが出来た。少し刈り上げた髪型で、実年齢よりも若く見える。そして、眼鏡をかけている。眼鏡をかけた彼は、教師と言われれば教師と見えなくもない。

「いえ、田宮さんは北海道の教育大学を確かに卒業していますが、教員ではなく、学芸員資格を取得されているようですよ」

舞は「学芸員」という話を聞いて、ふいに思い出した。


©︎gettyimages

「そうだ! 彼は動物が大好きで、いつも野良猫に餌を与えていたんだ……。私が『やめた方が良いよ』って言っても、『家で飼ってあげられないから、せめて食べ物だけでも与えたいんだ』と言っていた……」

「そうですか、それでは田宮さんはもしかしたら、教員ではなくもう一つの夢の方を実現したのかもしれませんね。彼はつい先日まで、北海道のある動物園で勤務されていました」

「そうだったんですね……でも、『つい最近まで』ってことは、今は?」

「今は『これぞ北海道』という土地で一人で、自営業をされていましたよ。私もあの街は初めて訪れたのですが、素晴らしい景色に感動しました」

美瑛


©︎gettyimages

東京の羽田空港から機上の人となり約2時間、舞は道央の旭川空港に降り立った。そこからレンタカーで約1時間半、目指す美瑛の街までは、風光明媚な景色が続く。

舞にとってもこのあたりは初めて訪れる地域で、見渡す限りの大地と果てしなく続く道路、青い空、時に遭遇するキツネやシカなどの野生動物に目を奪われ、心を揺さぶられた。

清水は、彼を見つけた方法を最後まで明かしてはくれなかった。

「この商売をやっているとね、やりたい仕事とやりたくない仕事があるんですよ。もちろん、商売なんで費用対効果の面も考えて仕事は受ける。でもね、極端な話、損してでも良いから担当したい仕事ってのもあるわけで、今回のあなたからの依頼は、まさにそれ」

「会ったらびっくりするよ。彼の今の生活に」

どうびっくりするんだろう。彼が今でも独身ということは教えてくれたが、それ以上のことを聞くと「自分の目で確かめに行ってきなよ」とはぐらかされた。

聞いた住所の近くまで訪れてみると、そこは観光客の多い風光明媚なエリアだった。360度の大パノラマが広がり、巨大な牧草ロールが目に飛び込んでくる。

舞は写真を撮った。後で舞は、「新栄の丘」という有名な観光スポットだと知った。

そして舞は、少しだけ車を走らせた。間もなく、小さなレストランのようなウッド調の建物の前に車を止めた。入り口には小さく「田宮」と書いてあった。



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