自分がお金を払う立場のはずなのに、ショウは自身の財布から“リオ”の望んだアイスティーを支払い、席にまで運んできた。
「あの、アイスティー代……」
「いいんです、いいんです。はい、どうぞ」
目の前に差し出されたアイスティーと、ショウの顔を見比べる。
例えるなら、山崎賢人をもう少し幼くした感じ。笑うとえくぼが出る、さらさらとした黒髪。ジャニーズにいてもおかしくなさそうな整った顔は、見れば見るほどみずみずしい。当たり前だけれど、年上の夫の顔とは全然違う、夫はカフェでも自分は座って私に注文を取らせるような人だしな、などとまで思い出してしまう。
会社でも日常でも、こんな若い男の子の顔を間近で見ることは久々すぎて、沙織はショウを直視できなかった。
某有名大学に通っている話、他に家庭教師もしている話、今日の天気がいい話。ギクシャクとしながら社交辞令的な会話を交わすが、すぐに会話が途切れる。そんな沙織の様子を見かねて、ショウはすかさずパスを出す。
「リオさん、緊張してますね」
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