第1回目は、笠間で作陶する小林耶摩人さんのうつわを買う!
FORZA:ひさこ先生! 最近、家にいる時間が多くなったせいか、うつわが気になってるんです。
行方ひさこ先生(以下 ひさこ先生):料理って、うつわが変わるだけで見え方が劇的に変わりますし、食卓も華やかになりますから。飾るという意味ではファッションに似てるかもしれませんね。
FORZA:そうですよね。料理のレパートリーってそんなすぐには増えないけど、盛るうつわが変わるだけで気分も変わるし、買ってきたお惣菜も盛り変えるだけで美味しそうに見える。だから、いろいろ買い揃えたいと思ってるんですが、何を買ったら良いか全然分からなくて…。
ひさこ先生:じつはいま、FORZA世代の作家さんがたくさん活躍なさっていて、各地で素敵なうつわを作ってます。例えば、茨城県の笠間で作陶している小林耶摩人さん。彼の作品はどこか懐かしい古めかしさを備えながらも、シュッとしてシャープ。女性はもちろん、男性にも人気で作品は店頭から瞬く間に姿を消していくほどです。
FORZA:気になります!
ひさこ先生:笠間は車で1時間くらいで近いから、工房にお邪魔してお話を訊いてみましょうか?
FORZA:ぜひ、行きましょう!
大学卒業後5年働いた会社を辞め、一から陶芸家の道へ
ひさこ先生:小林さんは陶芸家になられて、何年目ですか?
小林耶摩人(以下 小林/敬称略):6年目です。2006年に大学を卒業して、出版とかイベントを企画するアート系の会社で働いていたんですが、実際にアートなどに触れているうちに、小さい頃から好きだったプラモデル作りなど物作りの面白さを思い出しまして、自分も作る側にまわりたいなって思い始めたのがスタートのきっかけです。
じつは父親も陶芸家でして、物作りという行為で一番身近にあったのが陶芸だったんです。
FORZA:小さいときには、お手伝いもしたんですか?
小林:高校のときに小遣い稼ぎで手伝ったことはあったんですが、陶芸家を目指そうとは思いませんでしたし、親から継ぐように言われたこともありませんでした。
ひさこ先生:法政大学を卒業した際にも陶芸家を目指すという選択肢はなかった?
小林:学生時代にもDTPの学校にも通ったりしていて、出版とか映像制作とかのクリエイティブな職種しか考えてはいませんでした。
ひさこ先生:その仕事は、何年くらい続けるんですか?
小林:5年くらいでしょうか。会社で働きながらも色々思うところはあって、じつは先を決めることなく辞めてしまったんです。半年くらいフラフラしながら考えて、結果的に陶芸家になろうと決断しました。
そこで実家である笠間に戻ったんですが、自分の父親の仕事を見てきて、近くにいたからこそ正直陶芸で食べていくのは厳しいだろうなとも思っていました。でも、決めた以上は基礎をしっかり学ぼうと、茨城県工業技術センター窯業指導所 成形科を2年かけて修了しました。
ひさこ先生:そのあと額賀章夫さんに師事なさるんですよね?
小林:額賀さんは2年サイクルでお弟子さんを取っていまして、運良く空きが出たのでご縁あってつかせて頂きました。そこで使いやすいうつわの作り方などを学んで、2年後に独立します。