独立後は作ったうつわを携え、全国行脚
FORZA:独立なさってからは、どんな風に活動していかれるんですか?
小林:独立したら笠間の陶器市に出店して存在を知って貰うのが一般的で、もちろん僕も出店しましたが、それだけでは全然知名度は上がらないので、他エリアのクラフトフェアにも出店していきました。
北は北海道から南は岡山の方まで車に積んで、馳せ参じました。陶芸家ってひとりで籠っての作業なので、たまに外に出て、お店の方やお客さんなどに会えたり話をしたりすのは楽しくて、まったく苦にはなりませんでした。
FORZA:これだったらご飯が食べていける、生業にできると思えたタイミングって?
小林:最初は月1ぐらいで作っては売りに出るを繰り返していまして、これを続ければなんとなく食べてはいける雰囲気だったんですが…。これを何十年も続けられるかは不安でした。
でも、各地で出店を続けた結果として取引先も増え、個展のお話も頂けるようになって先が見えてきましたね。
FORZA:それって何年目くらいですか?
小林:ありがたいことに、2~3年目とかでしょうか。笠間市は独立支援をしていたり、海外に向けて提案してくれたり、陶芸作家へのサポートが手厚いのも後押しにはなりました。
ひさこ先生:陶芸家にとっては活動しやすい街なんですね。ちなみに、工房の窯は、何を使っていますか?
小林:灯油窯です。父親も使っていて、独立前にも使わせて貰っていたので馴染みがあったため選びました。
ひさこ先生:最近はガス窯を使われる方が多いと思うんですが、その違いってなんでしょう?
小林:灯油の方が焼きムラが出やすいですね。4つバーナーがあって火をつけるんですが、ひとつずつ目で見て調整するんで難しいんです。
でも、その微妙な差で焼き上がりが変化する面白みもあります。古い窯の場合は 奥まで入り込んで作業しなくていけなくて、さすがに大変なので、ぼくはシャトルといって置いたうつわの台を引き出せる仕様のものを使っています。