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【ハコスカ、ケンメリ、R32、R34】日産スカイラインGT-Rを一気に振り返る

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安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

いまや世界中にファンのいる、日産のスポーツカー「GT-R」。現行であるR35型は「GT-R」という名のつくクルマとしては6代目。初代登場はなんと1969年ですから、いまから50年以上前にもなります。2019年には、GT-Rの生誕50周年を記念した限定モデル「NISSAN GT-R 50th Anniversary」が登場、いまもなおファンを楽しませてくれるクルマです。

アメリカの映画「ワイルド・スピード」の劇中で、主人公が駆るR34スカイラインGT-Rが大活躍したことも影響し、世界的に注目が集まっている、GT-R。

歴代GT-Rは、大きく3つの世代に分類されます。今回は日本が誇るスポーツカー、GT-Rの歴代モデルを振り返りつつ、熟成が極まった現行R35型GT-Rの凄さにも迫ってみようと思います。

 

■第1世代 PGC10型(1969年~1970年)/KPGC10型(1970年~1972年)

「ハコスカ」の愛称で有名なのが、この初代スカイライン2000GT-Rです。プリンス自動車工業との合併を経た1969 (昭和44) 年2 月に誕生しました。ツーリングカーレースを闘うために生まれたこの「GT-R」は、おとなしい外観の4ドアセダンボディ(1970 年以降の後期型は2 ドアハードトップボディ)でしたが、その中身は、プロトタイプレーシングカーR380のノウハウを満載した高性能車でした。

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なかでも、排気量1989cc直列6気筒の4バルブDOHC機構(世界初)が採用されたエンジンは、R380 用エンジンを市販車用に再設計したもの。最高出力160ps、最大トルク18.0kgfmでしたが、レーシングカーそのもののサウンドは、ファンを魅了しました。いまでもその加速サウンドを聞くと、身体中がしびれるような爽快感を感じるほど。

実戦では、わずか2 年10ヵ月の間に、国内ツーリングカーレースにて、前人未踏の累計50勝を達成。1972年10 月のワークス活動休止までに、通算52 勝という大記録を打ち立てています。

1969年に登場した初代GT-R 総生産台数は、前期PGC10型が832台、後期KPGC10型が1197台と少なく、いまでも大切に乗っているユーザーは羨望のまなざしを受けるほど。

 

2代目 KPGC110型(1973年)

1972年9 月にフルモデルチェンジとなったスカイラインは、4 代目のC110 型へと進化します。そして、1973年に登場したのが、2代目2000GT-R(KPGC110型)です。ハコスカと同様、直列6気筒DOHCのS20型エンジンを搭載し、4 輪ディスクブレーキ化や、吸気側エアダクトの変更、ワイドタイヤの装着を想定したフロントオーバーフェンダー、専用リヤスポイラーなど、初代GT-Rに対して、大幅に進化。ツーリングカーレースに向けて準備をしていましたが、当時、深刻な大気汚染を受けて厳しさを増した排ガス規制に対応できず、日産はワークス活動を休止。新型GT-R は実戦投入がなかったことから、「幻のGT-R」とも呼ばれています。

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「ケンとメリーのスカイライン」という広告キャンペーンから「ケンメリ」と呼ばれた4代目スカイライン この4代目に設定されたのが2代目GT-R。

販売期間は1973 (昭和48)年1月からわずか4ヶ月、総生産台数も197台と、超希少車です。ちなみに、ベースとなった4代目スカイラインは、歴代最多の64万台の販売台数を誇る大ヒットとなりました。

 

■第2世代 3代目 BNR32型(1989年~1994年)

バブル景気に沸いていた1980年代末、日産社内では「1990年代までに、技術で世界一を目指す」という、「901運動」が行われていました。そして、その技術の集大成として生まれたクルマのひとつが、1989年に登場したR32型スカイラインGT-Rでした。ちなみにこの年は、トヨタ セルシオ、マツダ ユーノス ロードスターといった、世界的に影響を与えた、名車が多く誕生した年でもあります。

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「レース(全日本ツーリングカー選手権)で勝つ」という使命と共に、16年ぶりに復活したGT-Rは、当時のレース関係者達を大いに魅了しました。エンジンは専用設計の2.6リットル直列6気筒ツインターボ「RB26DETT」を搭載。市販モデルでは最高出力280psが公称値でしたが、レース用チューニングエンジンでは600ps以上をも発生する実力を持っていました。ちなみに、この「2.6リットル」という中途半端な排気量も、当時のレースのレギュレーションに合わせたものです。

1990年より、全日本ツーリングカー選手権のグループAに参戦したR32GT-Rは、当時、ツーリングカーレースで世界最強と言われていた、ライバルのフォード・シエラRS500を、なんと、レースの1/4を終えた時点ですべて周回遅れとし、衝撃的なデビューを果たします。その後も、圧倒的な速さでライバル車を駆逐し、全日本ツーリング選手権で無敗の29連勝という、伝説を打ち立てました。筆者も一度は所有してみたいと思う一台です。 

R32 1989 Skyline GT-Rは、「R32スカイラインの最上級グレード」という位置付け。ベースモデルのR32型スカイラインと比べて、大きく張り出したブリスターフェンダーや大型フロントグリル、16インチの鍛造アルミホイール、RB26DETTエンジンなど、スペシャルな装備が装着されていました。

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当時のレースを席巻した圧倒的な戦闘能力と、「GT-R」というフィロソフィー、日本国内のみの販売というストイックなポリシー、そして硬派なデザインなどが全て融合し、日本のクルマファンの「大和魂」が、大いに揺さぶられた一台。

 

4代目 BCNR33型(1995年~1998年)

R33型スカイラインGT-Rは、R32型に対して、全長+130mm、ホイールベース+105mmと拡大され、合わせてボディ剛性も強化されました。エンジンは、名機RB26DETTを踏襲し、ブレンボ製ブレーキキャリパーも全車標準装備。プロトタイプモデルが、ドイツのニュルブルクリンクで「7分59秒」というラップタイムを出したことでも有名です。先代のR32より、21秒ものタイム短縮に成功したことで、「マイナス21秒のロマン」という言葉が、セールスコピーに使われることもありました。

ただ、「第2世代GT-Rの失敗作」と、揶揄されてしまうこともありました。その理由は様々あげられていますが、最大の要因は、スリムで無駄のない造形のR32型に比べて、R33型のボディが大型化したことで車重が増え、重たくなったことが理由。ただ、R33型GT-Rを所有したオーナーは、「R33はダメだとは思わない」という方が多く、おそらく、所有したことが無いユーザー同士の噂が独り歩きしてしまったものとも考えられます。

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R33_1995 Skyline GT-Rのエンジンは名機RB26DETTを踏襲、過給圧は0.75kg/cm²から約0.84kg/cm²へとアップし、最高出力の公称値は、自主規制ギリギリの280ps(最大トルク37.5kgm)にまでチューンされました。

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 ホイールベースが長くなったことで、R33は、リアシート下に樹脂製燃料タンクを(R32はトランク床下)、リアシート後ろにバッテリーを(R32はエンジンルームだった)設置することができた。重量物を可能な限り、ホイールベース内の中心に集めることで、慣性モーメント低減に成功していました。

 

5代目 BNR34型(1999年~2002年)

R34型スカイラインGT-Rの開発は、R33の車両パッケージングの見直しから始まりました。大型化して不評だったR33 GT-Rのサイズから縮小化され、ホイールベースは55mm、全長は75mm短縮化、合わせて、ボディ剛性向上、可変2段リアウイングスポイラー、強烈なダウンフォースを生み出すアンダーパネルも追加されました。RB26DETT 直6ツインターボターボエンジンのカタログ表記は280psでしたが、実際には300ps以上も出ていたという話もあります。

いま、国内のR34型スカイラインGT-Rは絶滅に向かっています。アメリカでは「25年以上経過したクルマであれば、右ハンドル車もそのまま走っていい」という決まりがあり、これをクリアする90年代初期のジャパニーズスポーツカーが、徐々に国内から姿を消していっているのです。R34 スカイラインGT-Rは1999年から2002年製造であり、あと数年のうちにこの条件をクリアします。そのため、良質の車両を確保する動きがあり、すでに中古車オークションでは2000万円もの高額落札された例もあるなど、異常な状況になっているのです。

世界中でGT-Rが認められることは嬉しいことですが、買い占めに近い状況になっているのは、なんとも悲しいものです。

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R34_SkylineGT-R(1999登場)は、毎年のように小改良を繰り返し行い、Vスペック、VスペックⅡ、VスペックⅡニュル、そしてNISMO Z-tuneというコンプリートカーまで開発されました。

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床面の空力パーツによってクルマを地面に吸い付けることで、強烈なダウンフォースを発生し、路面へタイヤを押し付けていました。

 

■第3世代 6代目 R35型(2007年~)

R35型GT-Rが登場したのは2007年12月。すでに発売開始から13年が経っています。毎年、少しずつリファインがなされており、内外装デザインやエンジン、ミッション、足回りなど、その時々の需要に合わせて、開発が継続されており、初期のころのR35GT-Rとは比較にならないほどに、洗練度が増しています。

R35型GT-Rの狙いは、「走りで他社車に勝ち、日産のブランドイメージを引き上げていく」こと。お客様に「日産の技術力の高さ」を伝えるイメージリーダーとして、世界の名だたる強豪と肩を並べて、スーパースポーツカーとして認知され続けることでした。そのため、デビュー当時の価格は777万円~と、ライバルのポルシェGT3の約半額という、「あり得ない価格」でデビューしました。

チューニングモデルのGT-R NISMOも登場。パワートレインは、6速DCTと組み合わされる3.8リットルV型6気筒ツインターボエンジンは最高出力600psという、驚異的なスペックです。レーシングシーンでは超刺激的ですが、なかなかハードな乗り心地で、それらを全て受け入れる、という、根性が求められるスポーツカーです。

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 GT-R NISMO 2020モデルは、純粋にパフォーマンスとドライビングの歓びを極めるために誕生したGT-Rとして、SUPER GTで得た最新のエアロダイナミクスなど、最速のテクノロジーがフィードバックされています。

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Nissan GT-R50 by Italdesignは、2019年、GT-Rの50周年を記念し、イタリアのカロッツェリアである「イタルデザイン」との共同プロジェクトによって誕生。世界限定50台でフルオーダーメイド、価格は99万ユーロ、日本円にすると1億2400万円にもなます。

と、駆け足で歴代GT-Rを振り返ってきました。一番思い入れのあるモデルは何代目ですか?

日産GT-Rの公式サイトはこちら

Text:Kenichi Yoshikawa
Edit:Takashi Ogiyama
Photo:NISSAN

 

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吉川賢一ポートレート吉川賢一(自動車ジャーナリスト)1979年生まれ。元自動車メーカーの開発エンジニアの経歴を持つ。カーライフの楽しさを広げる発信を心掛けています。


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