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LIFESTYLE 男のおしゃれ不要論

ダッフルコートの決定版グローバーオール、おすすめの理由と着こなし方

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働く男を応援する装うことの理論と応用を網羅! 働く男におしゃれは必要ない、と著者は考えます。しかし人は裸では生きていけません。だから、服を着るのです。もちろん、やりすぎてはいけません。つまり、他者におしゃれだと感じられてはいけないということです。趣味としてのファッションと、日常着る服は異なるのです。

冬になると当然アウターが欠かせません。私がおすすめするアウターはダッフルコートです。このコートは元々、北欧の漁師や農民たちが着用していたものに端を発すといわれます(諸説あり)。生地は分厚いウールで、デンマークのアントウェルペン州デュフェル(英語名ダッフル)で生産されたデュフェル布にちなんで、ダッフルコートと命名されたようです。

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1896年、潜水艦Stugeonの甲板で記念撮影をする、ダッフルコートを着た兵士たち@gettyimages

大きなフードは防水、防風効果があり、前合わせのトグルという留め具はグローブをしていても着脱しやすいなど、極寒の海や畑で働く人たちのニーズに応える素材とデザインをもっています。それに目をつけた英国軍が制服として採用し、またサープラス(余剰品、軍放出品)として世に出回り、ファッションアイテムとなった、というのがダッフルコートの簡単な歴史です。

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トグルと呼ばれる留め具と、麻のひも

ダッフルコートは、英国をはじめ、ここ日本でも学生服の上に羽織ることが多く、日本人にもなじみ深いアウターとなっています。軍服でありながらどこか着る人を優し気に見せるのは、北欧デザイン由縁だからでしょうか。大きなフード、分厚いウール生地、木と麻糸ひも(または牛の角と革ひも)の留め具など金属がまったく使われていないのが、牧歌的と感じさせるのでしょう。いずれにせよダッフルコートを着る人は何だかいい人に見えます。そこが私の最大のおすすめポイントです(笑)。

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ダッフルコートでメジャーなブランドのひとつがグローバーオールです。同社は、1941年、セントポール大聖堂に程近いロンドンの工場にて、前身のモリス・ファミリー社をスタートさせました。第2次世界大戦後に英国国防省の委託を受けて、不要となったダッフルコートや手袋などを販売したことをきっかけにグローバーオールと改名し、本格的にダッフルコートの生産を開始します。

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現行型のモンティ(グローバーオール公式HPより)

それから半世紀以上を経た現行モデルには、「モンティ」と「モリス」があります。もちろんほかにもありますが、この2モデルがとくに有名です。

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1946年、ダッフルコートを着用するバーナード・モンゴメリー元帥@gettyimages

まず、「モンティ」は、ダッフルコートを愛用した第一次、第二次大戦時の英国陸軍元帥モンゴメリーが着用していたものを復刻したモデルです。オーバーサイズフィット、木の留め具、麻糸のひもにそれが見て取れます。アシンメトリーの前合わせも特徴的です。素材はウール混のヘリンボーン。おそらく北欧の漁師たちもこれに似たものを着ていたのでしょう。

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現行型のモリス(グローバーオール公式HPより)

一方、「モリス」は創業家の名に由来します。ひざまでの裾丈、バッファローホーンの留め具とレザーのひも、ウール混のメルトン、着脱可能のフードなど私たちがもっとも親しんでいる、ダッフルコートそのものが「モリス」には取り入れられています。フィットは「モンティ」ほどオーバーではありませんが、デザイナーズブランドが出しているものほどタイトでもありません。ダッフルコートとはあくまでオーバーコートであって、決してTシャツの上に直接羽織るものではありません。ジャケットや肉厚のニットの上に羽織ってこその存在なのです。

 

着こなし方は?

ダッフルコートの生地は分厚く、着丈もひざくらいまであり、フードとともにボリューム感があります。よってインナーに薄手のハイゲージニットのみだと着やせして見えます。やせて見えることは女性にはうれしいのでしょうが、男性ならではの頼もしさが減ってしまいます。もし薄手のニットに羽織るのなら、マフラーを巻いてボリュームを調和するのがいいでしょう。

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薄手のニットだけでは貧相な印象に。マフラーなどで首元にボリュームを

ローゲージのタートルニットが最も似合うインナーだと私は考えます。ボリュームもマッチし、何より寒い季節に見た目にも温かみを感じさせます。優しい雰囲気も醸し出すでしょう。肉厚でゴワゴワ、起毛してザラサラしている素材感は、無骨ですが、なんだか憎めない、牧歌的な雰囲気を出します。

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肉厚のダッフルには、ローゲージのタートルネックが好適

逆にツルツルやピカピカした素材感は、神経質で気障な印象。たとえばシルクがその代表です。ダッフルコートは前者。つまり、他のアイテムも同じような素材感で合わせると調和が取りやすく着こなしがうまくいきます。ローゲージのニット、コーデュロイのパンツ、スエードの靴がその代表です。デニム素材も合うでしょう。

このコートの定番色は紺かグレイ、ベージュ(キャメル)だと思います。紺とグレイはジャケット同様、どんな色でも合わせやすい。一方、ベージュはあまり普段着ない色なので、どんな色が似合うかお悩みの方もいらっしゃるかと思います。

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ベージュのダッフルコートには同じトーンのインナーが似合う

ベージュは薄いブラウン、ペールトーンといったスカイブルーやペパーミントなどと同じ系統の色です。このペールトーンには同じく淡い色、薄い色を合わせると調和が取りやすく、簡単です。白、ライトグレイ、カーキがその代表でしょう。ただし、このペールトーンという色は春夏向きの色なので、使っているアイテムには冬ならではの素材を選ぶ必要があります。

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茶スエードの靴に、ベージュのコーデュロイパンツでダッフルのカラートーンに合わせて。ソックスは茶またはライトブラウンが適する

ニット、スエード、厚手のコットン(キャンバスやコーデュロイ)がおすすめです。またベージュをブラウン系の色と考えると、当然ブラウンも合います。薄いブラウンから濃いブラウンと合わせ、同系色でグラデーションを作ると簡単です。レッドやグリーンがトレンド色だからと難しいことは考える必要はありません。着たいものを着ればいい。男の装いはシンプルに、おしゃれに見られようなどと考えないことです。

グローバーオールのダッフルコートは新品で6万円ほどです。古着なら1万円以下でも手に入ります。いずれにせよ、ダッフルコートは長い時代のなかで淘汰されたコートのなかで、残ったもの。さらに丈夫な生地や仕立てが信条なので、長く着られます。

Photo: Ryouichi Onda
Styling:Takahiro Takashio
Text:Takashi Ogiyama

グローバーオール公式ホームページ

 


 



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