FASHION ― 赤峰塾!間違いだらけの洋服選び

ドクトルの大阪探訪「服作りとは人生なり〜AKAMINE Royal Lineの工房を訪ねて」

2019.11.18 2019.11.18
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2019.11.18
ジェントルマン道を極めるドクトル赤峰とファッション界のレジェンドたちが、イマドキファッションの風潮やヤワな着こなし、ガッカリスタイルなどをスパッと一刀両断! 男として、あるいは女として、「清く、正しく、美しく」生きるために必要な服装術や、服を着ることの意味・意義をストレートに語り尽くします。

こんにちは、赤峰幸生です。先月の連載では『AKAMINE Royal Line』の話をしましたが、今回は、AKAMINE Royal Lineで仕立てをお願いしている工房をご紹介しようと大阪にやって来ました。

訪ねるのは井地八朗さんが代表を務める有限会社I.J.I unitです。井地さんとは20年ほど前に梅田の阪急メンズのオーダーサロンでブランド『Dots & Loops(ドッツ&ループス)』を立ち上げるなど、長く一緒に服作りと格闘してきた歴史があります。

ミラノの安ホテルの近くのバーで深夜まで語り合った仲

赤峰 井地さんの工房が入っている「船場ビルディング」は、いつ来ても変わらず良い空気が流れていますね。

井地 大正14年(1925)に竣工しているので、来年で95年になる建物ですね。大阪観光局公式サイトにも掲載されている名建築です。この辺は問屋街として発展した歴史がありますが、今はマンションとホテルだらけですよ。

赤峰 東京で例えると馬喰町のような町で、かつては外国生地メーカーのエージェント(代理店)がたくさんあってよく来たものです。綿業会館とか古いビルも多かったけど、今も大阪・船場の近代建築の歴史を伝えてくれるこのビルは貴重ですよ。

井地 赤峰さんとお知り合いのテーラーも多く入っているので、あとで挨拶に行きましょう。

赤峰 井地さんと出会ってもう27~8年になりますよね。当時、井地さんはメーカーの企画室にいて、ミラノの安ホテルの近くのバーで深夜まで独立に際しての相談を受けていました。

井地 懐かしいですね。当時は本当にお世話になりました。

デザインも仕様もスタイルもわかる一気通貫した人になる!

赤峰 井地さんは、当時イタリアのサルトリアにいた「モデリスト」を目指したいという相談で、モデリストは日本にはいないけど、パターン(型紙)が引けて、縫製に詳しく、企画も出来るという、いわば“テーラリングのシンガーソングライター”になりたかった。探究心が旺盛な人だから、それから夜学に通って型紙の勉強をして独立しました。

井地 独立するときに一番背中を押してもらった人が赤峰さんでした。もう20年経ちます。

赤峰 井地さんはセレクトショップのオリジナルアイテム作りなども手がけていて、メンズドレス業界でも知る人ぞ知る存在。日本では希有なデザインも仕様もスタイルもわかる一気通貫した人です。

井地 ありがとうございます。でもすべてを理解するまでは時間がかかるし、まだ到達していません。

赤峰 井地さんはイタリアのサルトリアに自分が引いた型紙を持っていって見てもらうという根性も持っている人で、本物ですよ。とても勇気がいることですが、サルトから吸収しようという姿勢は素晴らしい。

井地 当時、3軒のサルトに辞書を片手に回って、ミラノのサルトとは長い付き合いができています。

現役テーラーの岡田さんは82歳。若手スタッフのお手本です

赤峰 ベテラン職人の岡田さんも相変わらずお元気そうでよかったです。

井地 今も現役で、三重県から月2~3回通ってきています。若手に縫い方を教えたり、もちろん自分でも手を動かしますよ。僕が夜間学校に通っていたときの先生にに紹介してもらったのが岡田さんです。職人の世界では、中学校を出て針を持った人じゃないと「職人」とは言わないんですよ。

赤峰 アントニオ(・リベラーノ)は10歳から縫っていて、今85歳です。

井地 岡田さんを見ていて思うのは、時間をかけてモノを作った時代と、効率を求めた時代の両方を経験されているのが強みになってるなということ。同じ型紙を使っても、岡田さんが縫う服は、顔つきも着心地もまったく違います。

赤峰 そう、「身体に沿う」というのは数値には出せないことなんですよ。大量生産の縫製工場と岡田さんに同じ型紙を渡して作ってもらうと、サイズは同じなんです。でも着ると違う。料理と同じで、白米は誰にでも炊けるけど、美味い炊き方はマニュアルにはできない。

井地 自分が理想とする服は、外注では作れないんです。外注には外注の生き残っていく術があるし、僕が求めるモノをお願いしたら、立ちゆかなくなってしまいます。だから突き詰めたモノは外ではできないので、自前でやっていくしかありません。

赤峰 岡田さんの仕事を見ていると、左手で生地の加減をつけながらまつっていく手加減は惚れ惚れしますよ。女性も男性もスタッフは若いし、いわば産地直送なんですよ、井地さんたちが作る服は。

井地 好きな人たちにしか出来ない仕事です。儲かる商売でもないし、地道だし。

Author profile

梶井 誠
梶井 誠
Kajii Makoto

今はなき講談社のメンズファッション雑誌『Checkmate(チェックメイト)』編集部のファッション班を経てフリーランス。セレクトショップのカタログやメンズ雑誌のファッションページの取材・原稿を担当。SKE48箱推し、フィロのス・奥津マリリ推し、ジュビロ磐田サポーター。1961年福井県出身。

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赤峰幸生

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