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「私の卵子のせいだ...」6回体外受精して6回失敗した39歳OLが「それでも不妊治療を続ける」と清々しく誓う理由。

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「2時間待ちなんてザラです。土曜日の朝は特に混みますね。口コミ評価の高い人気の病院だと半日潰れます。

でも、病院選びは何よりも大事なんです」

京子さんは転院を繰り返し、現在3つ目の病院に通っているそうだ。

「1つ目は、『不妊治療』と検索すると上位に表示される大変人気の病院を選びました。ですが、先生が忙しすぎて、流れ作業のようで。

心の準備が出来てない状況で 次々と検査が進みました。

細いカメラを子宮口から挿入し子宮内膜に異常がないか確認する子宮鏡検査で、あまりの痛みに失神してしまい、これはダメだと思い転院を決意しました。

2つ目は家から近い総合病院にしました。のほほんとした雰囲気は良かったものの、正直、治療のレベルが高くありませんでした。

移植が4回連続でNGだったのに具体的な対策を提示してくれず、「保険適用上限」に迫っていたこともあり、地元で評判の不妊治療専門の病院に転院を決めました。

ちなみに、「保険適用上限」とは回数の上限であり、治療開始時の女性の年齢が40歳未満の場合は子ども1人に対して6回まで、40歳以上43歳未満は子ども1人に対して、3回までと定められている。

今通っている病院では、子宮内の細菌(フローラ)や着床時期のずれがないか等を確認できる「TRIO検査」という先進医療も勧めてくれました。不妊の原因究明に向け、ひとつずつ丁寧に取り組んでくれます。

紹介状を書いてもらうとスムーズに転院できるので、合わないなと思ったら躊躇せず環境を変えることをオススメします。

不妊治療は時間との勝負です!」

また、不妊治療はメンタルケアが大事になってくるので、信頼できる先生がいるかどうかや治療方針に納得できるかが重要だそう。

「例えば採卵にしても、麻酔ありorなしは病院によって様々です。私は痛みに弱いので麻酔ありのところを探しました」

子宮に針をぶっ刺して卵子を採る手術で麻酔なし! なんて信じられないが、身体の負担を減らす目的で麻酔しない病院もあるらしい。

不妊治療は、とにかく痛い施術が多くて我慢することに慣れましたよ……と語る京子さん。「女性は強い!」と改めて感じる。

不妊治療は身体的・精神的負担に加え、金銭面での苦労も大きいという。実際いくらかかるのか赤裸々に語ってくれた。

「もちろん身体的負担もあるんですけれど、金銭面の負担も大きいのです」と続けた。

約3年間で支払った治療費は約50万円だという(薬代・交通費除く)。

「実際の総額は約100万円です。私はラッキーなことに、もともと加入していた生命保険が不妊治療も対象で手術給付金を受けとれました。

さらに、自己負担額の25,000円以上(保険適用の治療に限る)は会社の健康保険組合による払い戻しがありました。

菅政権が2022年に不妊治療を保険適用にしてくれた恩恵を受けています。でも、その保険も上限まで使い切ってしまい、次の移植から全額自己負担です。40歳未満の私が受けられる回数は子ども1人につき、6回までなので。

保険適用外だと1回の移植で12万円もかかると聞いて、凍結している受精卵も残り少ないので、ラストチャンスかなと悩んでいます……」

京子さんは、夫婦ともに大手企業総合職のいわゆるパワーカップルだ。金銭面は比較的余裕がある夫婦だが、それでも継続するか悩んでいる。

「また採卵からやり直しとなると、回数にもよりますが数百万円を覚悟しなければなりません。もし産まれたら子育てのお金もかかるのに、産まれる前からこんなにお金がかかるのか……と悲しくなります。

まさか自分が保険適用の上限まで上手くいかないとは思わず、治療も思うように進まず、保険も使えなくなり、まさに泣きっ面に蜂。見放された気分です……。

今までの人生って、頑張れば結果に繋がることが多かったんです。例えば受験とか、ダイエットも、自分の努力次第で成果が出る。

でも、不妊治療はどんなに頑張っても結果が伴わない場合があるんです。生命の話なので運の要素も入ってきます。

精一杯やって祈るしかない状況で、毎回“不合格”を言われ続けると心が折れそうになります。

治療が行き詰まっている一方で、友達や会社の後輩たちがどんどん妊娠・出産していくのを見ると『私はこんなに頑張っているのにな』と羨ましい気持ちが出てきてしまって。

後編では、当事者が語る不妊治療の実情により詳しく迫っていく。

 

取材/分:吉田ひな

Photo:Getty Images
 

▶︎後編に続く


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