小学生になると保育園よりも登校時間が遅くなる。その現実から、子供の朝の居場所を確保するために、7時代から学校を開放して活用する動きが広がっている。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「よく、小1の壁問題のひとつに取り上げられる事例です。保育園は7時台から預けられる場所があるのに対して、小学校の多くは8時台の登校。もともと7時台から預けて出勤した人にとっては、これは一大事です。子供を預けられないので、出勤時間を遅くするか、子どもが1人で鍵を閉めて投稿するかの二択になってしまいます」。
小学校1年生の子供が、自宅の鍵を閉めて登校するのはなかなか難しいように思える。
「この問題を解決するため、学校の開門を早くする取り組みが自治体で行われています。一方で、こういった働き方しかできないことが問題なのではないか、という声も上がっています。確かに足りないものを埋めるのではなく、根本を解決する姿勢は必要だと感じますね」。
しかし、実際はなかなか難しい。夫婦どちらかが我慢をしているケースも少なくない。今回話を聞いたのは、小学校に上がる娘を持つ母だ。
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宮本優子さん(仮名・42歳)は、来年小学1年生になる娘を持つワーママだ。元はアパレル業界で働いていた。
「娘ができて、フルタイムで働くのは難しくなって、保育園時代は近所のスーパーでレジ係として働いていました。職場にもどりたかったけど、夫は忙しく、週末すら不在のことも多くて…。子供ができた時点でもう少し夫婦の役割分担を話し合うべきだったと後悔をしました」。
妊娠初期に体調を崩したこともあり、早めに仕事を辞めたことがことの始まりだったと話す。
「前置胎盤と診断されて、仕事を辞めて、とにかく安静にすることになりました。少し元気になってからは、いわば、専業主婦的な時間でしたね。このとき、初めて稼いでいない人の肩身の狭さを感じたんです」。
これまでであれば、夫と同じぐらい稼ぐことができていたのに…その気持ちに苛まれていたそう。
「妊娠していましたし、久々の休みじゃん!ゆっくりしなよ!と周りからはいわれましたが、全然そんな気持ちにはなれませんでした。稼ぎがない、それだけで自信を喪失していました。なんていうか、絶望みたいな感じでしたね」。
その後、出産。0歳児で保育園に預けて、働こうと目論んだがなかなか仕事に戻れるようにはならなず、それも頓挫した。
「0歳児保育は枠が少なく争奪戦。働いている実績がないと預けられなくて…。諦めて1歳児の入園に向けて、就職活動を始めましたが…なかなか働く場所を見つけることはできず、苦戦しましたね」。
優子さんは夫の協力も得られないため、アパレル業での復帰を断念。近所のスーパーでのパートの切り替え、なんとか保育園に入園した。